本の感想:ねずみとおうさま

ねずみとおうさま
コロマ神父(ぶん)
石井桃子(やく)
土方重巳(え)

ねずみとおうさま (岩波の子どもの本)

全編ひらがなで書かれている本ではあるが、文章量は多い。
スペインという国名も「むかし すぺいんという 国に・・・」などと徹底してひらがななのだ。
「全編ひらがな」と言ったが、正しく言うなら外来語を使わない日本語で書かれたといった方がいいかもしれない。

翻訳者の石井桃子さんの力であるが、この本からきれいな日本語を感じることが出来る。

岩波書店には「岩波少年文庫」と呼ばれる昔からの児童書シリーズがある。
この「ねずみとおうさま」は、「岩波の子どもの本」と表紙の下に書いてある。
あきらかに「岩波少年文庫」よりも下の年齢層に向けた本であるようだ。
もちろん子どもが一人で読む本としては、必ず見開き毎に挿絵があって「絵本」に近いが、文章量からすると児童書に近くなる。親子で一緒に読むことも想定している「児童書」といった感じだ。

すぺいんに住む6さいで王位についたおうさまが主人公。ある日、ぺれすというねずみと出会ったおうさまが体験する物語。
おうさまはある日、貧しい暮らしをしている子どもと母親を見る。自分の恵まれた立場を知ったおうさまが自分の母親に投げかける質問は、子どもらしく純粋だ。『銀河鉄道の夜』に出てきた主人公ジョバンニ少年を思い起こさせる。

若きおうさまが母親に問う「ほんとうの幸せとは?」について読み手のわたしたちも考えさせられるのだ。

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