本の感想:99.9%は仮説

面白かった本(その他)

99.9%は仮説
思いこみで判断しないための考え方
竹内 薫(著)

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)

「飛行機が飛ぶしくみは、まだわかっていない」という冒頭の言葉に驚きを禁じ得ない。
わかってないけど飛んでる」のが、飛行機なのだそうだ。(空飛ぶジェット機がちょっと怖い)
本書は、普段あたりまえに感じている科学技術固定観念を「ぶっこわし」てくれる良書だ。

仮説こそ、科学の基本

と本書ではくり返し述べられる。

世の中は、すべて仮説でできている

とも。

わたしは本書を読んで、科学者というのは、理詰めで物事を考える人のように感じていたが、本当は「頭のやわらかい様々な視点で考えることの出来る人」なのだと改めて思った。(まず、仮説を立ててから実験など行うのだから)

とりわけ面白かったのは、ガリレオ・ガリレイやコペルニクスの生きていた時代について書いてある部分。
天動説(地球が宇宙の中心である)から地動説(地球は太陽の周りをまわっている)に二千年もかかったことを著者は、笑うでもなく、これからも起こりうることである、と真剣に指摘している。
要するに、現代では常識だと多くの人が考えていることが、ある日突然ひっくり返る可能性があるよ、ということだ。

他にも、

マイナスイオンが体にいいなんて世界の科学者は、だれも信じていないのに、色々な場面で、マイナスイオンがもてはやされている

人間の意識は、起きているとき途切れずに続いている、本当か?

局所麻酔のメカニズムを詳細にわかっているが、全身麻酔については、仮説すら存在しない

物が実在する、ということも仮説だとしたら…映画「マトリックス」の世界が嘘とはいいきれない

などなど。
本書に散りばめられた文章は、頭がグニャグニャになってくれること請け合いだ。

本書で、著者の竹内薫さんが一番伝えたかったのは、科学の歴史を教えずに科学を教える現代のやり方や、とにかく算数の計算問題をたくさん解いて、効率よく物事をすすめることが奨励され「なぜ?」と問う機会を与えない現代教育への物足りなさだったのではないかと思う。

人と同じことを考えたり、人と同じ行動をとることが良いことだとだとは限らない。
100%仮説で過ごしていた小さかった頃には戻れないが、せめて99.9%は仮説であると考えて思いこみで判断しない人生を歩んでいきたいものだ。
そういえば、いつの間にかわたしも大人になって自分が成長したように感じていたが、本当は、子供の頃のやわらかい頭を失ってしまっていたのかもしれない。
物事を色々な角度から見たり、色々な考え方を持つことが出来る能力(いわゆるやわらか頭)は、子供の方が数段上なのではないだろうか?
大人になった人で、自分の子供の頃より「なぜだろう?」と考えることの出来る人は一体どれくらいいるのだろう。

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