本の感想:二歩前を歩く

二歩前を歩く
石持浅海(著)

二歩前を歩く

6篇のミステリーが収められた短編集。
表題にもなっている「二歩前を歩く」を含め「一歩ずつすすむ」「五ヶ月前から」などなど、気になるタイトルたちだ。そしてもう一つ気になるのは、脇役(本当は主役?)としてどの短編にも必ず登場する「小泉」の存在だ。

「小泉」。
ある時は、主人公の同僚、ある時は先輩、ある時は後輩として登場する。
一貫しているのは、小泉の性格。研究者という職業柄なのか極めて論理的な思考の持ち主だ。

「非科学的かどうかは、今の話だけじゃわからないよ。否定するだけのデータがない」

こんなセリフを毎回のように主人公に対して言う。
そしてこのセリフを口にした「小泉」は、わたしたち読み手を推理の世界に連れて行ってくれるのだ。
非科学的な話なのに、最後になぜか納得してしまうのは、「小泉」の当たり前に考える思考力とその行動からか。
夜中に読んだわたしは、ちょっとだけ背筋が寒くなり、最後の「九尾の狐」でほっとした。

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