本の感想:告白/清原和博

本の感想:告白/清原和博 面白かった本(その他)

本書に救いはない。あるのは淡々とした清原の告白のみだ。

薬物所持で逮捕された後、更生の道を歩む清原和博への1年にわたるインタビューを1冊の本にまとめたのが本書『告白』である。

甲子園のかつてのスターであり、プロ野球ではここぞというときにホームランを打ってくれる4番打者であった清原和博。現在彼は薬物依存の副作用でもあるうつ病の併発に苦しんでいる。本書の冒頭で清原本人の口から語られるのは、そんな現実だ。

「とにかくどうやったら遠くに飛ぶか。そればっかり考えていました」

これは、高校野球やプロ野球時代の清原の言葉ではない。
小学生のまだ野球も知らなかった頃に、河原の石ころを木の棒で飛ばす遊びをしていた時の本人の気持ちだ。

本書の中に何度も「ホームラン」という言葉が本人の口をついて出てくる。1本のホームランの為に野球人生を賭けた手術までしてしまう位だからそのこだわりは尋常ではない。

ホームランに関して言えば、次の清原の言葉は名言とも言えるものだ。

もし、手術の後に526本目のホームランを打てたとしたら、その1本はそれまでの525本を超える嬉しさだったと思います。野球人生で積み上げてきた全てを超える価値だったと思います…。

清原のホームラン生涯記録は、525本である。

清原のホームランの原点は、小学生の頃の遊びだったのだろうか。だとするなら本人のこだわりは物凄く長い間純粋な気持ちで培われたものと言える。

本書の冒頭で、インタビュアーである鈴木忠平は清原がどこでどうしてこうなってしまったのか、その原因を探すことを目標にあげている。その目標が達成できたかどうかは、読む人によって意見が分かれるだろうが、わたしが本書を読んで感じたのは「全てが原因だったのではないか」という事だ。
清原と清原をとりまいていた全てがこの結果を生んだ。全てというのは、本人、家族、野球仲間、マスコミだけでなく、清原をメディアを通じて知っていた我々も含む。

清原という人物をメディアが作り上げた凄い奴としてしか見てこなかった私たちもまた、清原がこうなってしまった原因の1つなのではないか?
そう考えて本書を閉じた。

清原和博 告白

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