自分とはまったく違う内面を持った人間にふれるおもしろさがある。
もちろん世界中の人と話すのが一番いいのだけれど、それには限度があるから。
著者の言葉である。
本を味方につける本
永江朗(著)
この本は河出書房新社がだしている「14歳の世渡り術」シリーズの一冊だ。
このシリーズの中には、テニスの松岡修造さんの本などもある。
大人から14歳の君に送る熱いメッセージ、といった感じの本だ。
わたしはこうしたシリーズが好きで、14歳とはうん十年前の程遠い世代なのだがつい読みたくなってしまう。
でも、本を読むと、いままで気づかないようにしていたものが見えてくる。鳥類図鑑を見れば、庭の木にとまった鳥が、たんなる「鳥」ではなくて、スズメやホオジロやシジュウカラやメジロといった名前を持つことがわかる…
本は鏡のようなものだ。本があることで自分がわかる。
などのメッセージを読むと、「うむ」と頷いてしまう。
本に対して、すごく挑戦的な本だ。
著者が本を読むときにしている、「大事なところに付箋紙を貼る」や「いいと思ったところはノートに書いてみる」、「声に出して読んでみる」、「面白い本だけを読んでみる」、「本の中で紹介されている本を読んで世界を広げる」などはわたしもふだん実践している。
しかし、「一ページを一秒で読んでみる」や「「本を分解してみる」、「表紙をとってオリジナルの表紙を別の題名などを描いて作ってみる」はさすがにやったことがない。
一ページを一秒で読んで、3回くらい繰り返すとなんとなく本の中身が分かってくる、という。
一度挑戦してみたいと思う。
色々な本との付き合い方を紹介しているが、ところどころに「本が全てではない」というメッセージがある。
著者が簡単に人生を渡ってきたわけではないことが良く分かる。
たぶん著者の永江氏は本がすごく好きで、これからも出来るだけ本を読みたいのだと思う。
「ゆっくりとソファで本を読んで過ごす時間などこれから絶対に持てるわけないのだから、こま切れ時間を有効に使おう」という意見にわたしも賛成だ。
わたしは出かけるときは常に文庫本を一冊持ち歩く、という習慣を一年前から続けている。
文庫本は小さいからバックに入れてもかさばらない。
ちょっとした空き時間が出かけたときには必ずあるのだ。
信号待ち、待ち合わせ...など。
その間にちょっとだけ読む、という行為は意外に頭に入ることに最近気づいた。
著者の言うように、まとまった時間をとって本を読まなくても、ちょっとした時間にこま切れで読んでいても本のことをづっと考えるようになるのだ。
むしろ同じ時間内に読んだとしても、何度かに分けて読んだ方が、その本とつき合う時間が長い気がする。
著者はそれをもう何十年も実践しているようだが。
14歳が本書に出会えば、さらに本とのつき合い方が今までよりも濃くすばらしいものになると思う。
ただ「本を分解してみよう!」だけはわたしには抵抗があるが。
これだけ本・本・本とくる内容の本もめずらしい。
著者は、本書でかなり「本」というものを持ち上げているが、最後にすばらしいこといっている。
「世の中には、本を読むより大切なことがたくさんある」
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