行動が売られる時代

携帯電話を利用するだけで優越感にひたることが出来たのは、今は昔。
今では携帯電話を利用するだけでわたしたちは自らの行動を不特定多数の人に提供する立場になってしまった。

NTTドコモが、携帯電話の位置情報を販売するサービスを始める、と新聞にあった。
行動が売られる時代だ。
そういえば、いつの間にか携帯電話にはGPSが付いている。携帯電話で写真を撮れば、撮った位置情報も写真と一緒に記憶される機能は、わたしも便利に使っている。
果たして新聞記事の内容は、写真に位置情報などというかわいいものではない。わたしは驚きを隠せなかった。

例えば、
○月○日○時台に○○駅周辺に○代の人が何人いた、とか。
現在○○付近のイベントでは、○代の女性が多い、とか。
地域、時間、男女、年代、居住市町村などの情報が携帯電話から知ることができるためだ。

一体誰に売るんだろう。誰が買うのだろう。
情報が売れても情報の提供者であるわたしたちには、一銭も入ってこないのはなぜだろう。
一銭も入らない代わりに何か利用者としてのメリットもあるのか。

すでにインターネットを使っていて気づくのは、「あらゆるサイトに表示される広告が、自分個人に向けているものである」ということだ。
男女、年代は確実に特定されている。
10代の子供がホームページを閲覧していて「住宅ローン」「抜け毛が気になるあなたへ」などという広告が表示されることはない。
これら広告は、わたし個人に向けて放たれている。

携帯電話の位置情報販売サービスは、今よりも更に個人向けに「何か」が放たれる可能性がある。
凡夫のわたしは、こうした時代の発展に興味がある。今よりも更に便利なサービスが展開されることへの期待は大いにあるし、新しいものはどんどん利用してみたい。
しかし、わたしは携帯電話を持っていないのだった。
わたしには、どこからも矢は飛んでこない。

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