出会った時が、最期の時

母の死は、突然だった。
母が、病気で寝たきりの状態だったり、医師からもう手遅れですと宣告でもされていたりしたのなら、わたしもそんなにがっくりとこなかったのだろうと思う。

お盆に帰省し母の顔を見てから一週間後に母は帰らぬ人となった。電話でも亡くなる3日前に父の健康状態のことで会話したばかりだった。
後から知ったのは、母が心臓の検査を受けるよう医者から勧められていた事。
畑の作物に水をやりにいった帰り、母が道ばたに腰を下ろして休んでいた事。
お盆に帰った際、庭の雑草が今年はいつもの年よりも伸びていた事。
無理をしていたのか、本当に突然死んでしまったのか。
今となっては、母に問いただすことは出来ない。
わたしに母の事を思う気持ち、思いやりがなかったことだけは事実だ。
なぜなら、母は突然死んでしまったのだと心のどこかで思っているから。

交通事故で家族を亡くした人は、きっとやりきれないのだろう。
まさか自分の愛する人が死ぬとは思っていないのだから。
後悔しないためには、「出会った時が、最期の時」だと思って行動していくしかないのだろう。

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