絵本の感想:夏のルール/ショーン・タン(作)

面白かった本(その他)

夏のルール
ショーン・タン(作)

去年の夏、ぼくが学んだこと。

で始まる絵本。

頁をめくるたびに兄弟が過ごしたひと夏の思い出が絵となって現れる。僕(弟の方)が学んだ「ルール」を添えて。

ショーン・タンの代表作「Arrival」は、絵だけの絵本だったが、本書はそこまで極端ではない。
見開きごとに冒頭のような短い一文が添えられてはいるが、読ませる絵本ではなく、絵が語る絵本なのだ。

絵の中に巨大なウサギがひそんでいたり、人間ではない生き物がいたり、ロボットのようなものがいたり。幻想的だが、どこか現実感をもって見てしまうのは、ショーン・タンの描くのせいだろうか。影とはイメージとしての影ではなく、物体に光があたったときに生じる「影」のことだ。

時にはテレビの光によって生じる影だったり、炎によってできる明暗だったり。影を描くことで幻想的な絵の中に現実感を作り出しているような気がする。

小さい人と 大きい人に

と最初に書いてあったのは、子供だけに向けた本ではないことを証明している。

一度見たあと、もう一度絵本を見直してしまうのは、文字だけでは分からない「何か」を知りたいからだ。
一枚一枚が美術館の展示作品として成り立つレベル。そう考えると、一枚の絵の情報量は文字にしてどれ位になるのであろうか。まあ、そんな事は考えずに気軽に見て、そしてまた思い出したときに見直してみるといい。

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