児童書のおすすめ本58選

本の感想:青春日記 第5部

本の感想:青春日記 第5部

青春日記 第5部
石川フミヤス 画

わたしはこの漫画本で、かつて日本に貸本マンガというジャンルがあったことを知った。

貸本マンガとは?
第2次世界大戦後の昭和20年代後半から始まったとされる。漫画や雑誌を貸し出す形態の店。

料金は時代によって異なり、1950年代後半の最盛期で入会金が20円、貸出料が2泊3日で10円から20円程だったと言われる。貸本漫画単行本の定価は100円から150円であり、基本的に書店では流通しなかった。

– Wikipedia より引用

購入のきっかけ

わたしは街で見かけたちょっと気になる商品を、すぐには買わず1度通り過ぎたあと、またその場所に戻ってきて買うという習性がある。

なぜかは分からないが、すごく気になるものであればあるほど、1度2度と通り過ぎては、何度も舞い戻ってきてしまうのだ。(たぶん店員は気持ち悪がっていると思う)

本書は、旅行先のとある雑貨屋の店先で見かけ3回通り過ぎた後に購入。

まず、表紙のインパクトがすごい。
本の感想:青春日記 第5部
食べている柿が口のまわりに飛び散っている少年。(わたしの中ではこれだけでも買いだったが、娘は「キタな~い」と言っていた)

タイトルは、ずばり「青春日記」とストレート。
そして1番の決め手は、表紙にあったこの言葉。

本の感想:青春日記 第5部

本書は、作者である石川フミヤス氏が、親友の唐橋司朗君に敬意を表して送った漫画本なのだ。
という訳で、わたしとすれば、青春日記はページをめくる前からかなりの想像を掻き立ててくれた本であった。

不思議なのは、タイトルは、「青春日記 第5部」となっているのに別の場所には、「青春の息吹シリーズ⑧」と書いてある点だ。
青春の息吹シリーズとしては、8冊目ということか。つながりが分からない。

感想(作品の感想というよりもむしろ本の状態の感想)

本書の絵のタッチや雰囲気は、はだしのゲンに似ていると言えば分かりやすいだろうか?

本の感想:青春日記 第5部

内容は、はだしのゲンほど生々しくはないが、やはり人の死は当然のごとく登場する。この辺りは、昨今の漫画と違う点だろう。死が身近にあった時代、というべきか。

本の裏面
本の感想:青春日記 第5部

GEKIGAという文字が。
価格は当時の220円。ちなみにわたしは1000円+消費税で購入した。

まんだらけという漫画の通販サイトでは、青春日記の別の巻を扱っているようだった。価格は、わたしの購入価格と同じく1000円。

主人公の唐橋司朗少年。(主人公の父と母が色メガネなのが気になる)
本の感想:青春日記 第5部
巻頭に登場人物の紹介とこれまでのあらすじが載っている。
登場人物のキャラクタ絵が個性あるものばかりで面白い。

著者の石川フミヤス氏と思われる石川という人物も紹介欄にいる。
本の感想:青春日記 第5部

昭和20年~30年くらいの作品ということで、途中破れていたり…
本の感想:青春日記 第5部

ヒゲの落書きがされていたり…
本の感想:青春日記 第5部

こちらは先生にヒゲの落書き。
本の感想:青春日記 第5部

鉛筆の計算書きまでも!(達筆ですな)
本の感想:青春日記 第5部

昔自分の家にあった漫画本を思い出しますね。

喧嘩のシーンも多いが、主人公がほのかに想いをよせる女の子とのシーンもある。
本の感想:青春日記 第5部

巻末には、読者と著者とのやりとりの手紙が掲載されていてほのぼのとした雰囲気。
本の感想:青春日記 第5部

昔、少年ジャンプなどで連載されていた漫画本も巻末に読者と著者とのやり取りの手紙がいくつか紹介されていた。
現代ならツイッターかインスタあたりのイメージだろうか。
ただ、こうして印刷物として残っていると本当の意味で残っている気がするのは何故だろう。

参考:著者の石川フミヤス氏について

すでに故人である。
ゴルゴ13のさいとうたかを氏と共にさいとう・プロの主要スタッフとして活躍されていた方のようだ。
石川フミヤス氏の単行本は、あまり存在しないらしく貸本マンガとして個人名で出したのが本書のようである。

以下のサイトに詳しく情報が掲載されている。

参考 さいとう・たかをの陰に隠れた奇才、石川フミヤスに迫るハクダイのカカク

青春日記とは。

戦後の貸本マンガ時代の本ということで本書はくくられてしまうが、一体戦後とはまだ続いているのだろうか。

インターネットが普及して何でもすぐに分かるような気になっていたが、この本のタイトルで検索しても情報はほとんど無かった。いつ出版されたかも定かでないのだ。
まだ、100年も経っていないのに人の記憶からは、無くなってしまうものなのか、と感じる。
そう考えると歴史を研究している人などは、きっと宇宙を旅するよりも広い場所を彷徨っている人なのだろう。

こうした本が世界のどこかに残されていて、人の目に触れて初めて情報としての価値を持つのだと感じる。
わたしはこれを描いた著者の石川フミヤス氏に敬意を表し、ここに記しておくことにする。

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