本の感想:海底二万マイル

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人間もすべての地上の生き物も海からきた。
海底二万マイル
ジュール・ヴェルヌ(著)
海底二万マイル (ポプラ社文庫)
見たこともない海底の幻想的な世界や海の生き物たちの生き生きとした姿が目に飛び込んでくる本だ。
この本に出てくる潜水艦「ノーチラス号」にのって誰もが一度海を冒険してみたくなるに違いない。
20年程前にNHKで「ふしぎの海のナディア」というアニメ番組を放送していたが、原作はこの1869年に書かれた「海底二万マイル」だった。アニメのオープニング曲「ブルーウォーター」が耳に残っている。いい曲だった。


物語の始まる数ヶ月前から海では不可解な事故が勃発していた。
何か「とてつもなく大きいもの」が海にいる。
ある船からそれを見たものは大きなクジラだといい、あるものは海の怪物だという。
そしてその「とてつもなく大きいもの」は、豪華客船を沈めてしまうこともあった。
世界が恐怖したこの怪物の招待を突き止めようとアメリカの海軍が探検隊を組織する。
主人公の「わたし」であるアロナックス教授は、アメリカ軍の探検隊に招待されともに旅するところから始まる。
生き物なのか人間の作ったものなのか。
主人公アロナックス教授の乗った船が、その怪物に沈められたことで、怪物の正体がはっきりとする。
ネモ艦長率いる潜水艦「ノーチラス号」が怪物の正体だった。
しかし、謎は多い。
この潜水艦「ノーチラス号」は、まだ電気がない時代、汽船や汽車が走っている時代からすれば、夢のような万能潜水艦である。
まず制御は電気で動いている。海水からとった材料で電気を作っている。
海にいるかぎり、永遠の動力が手に入る潜水艦なのだ。
ネモ艦長にも、なぞが多い。
この潜水艦を設計し、作ったのはネモ艦長なのだ。
ネモ艦長は、もう地上に戻ることはないと言う。
海を愛しているだけではなく、地上の人々を指して「圧制者」と呼び、憎んでいるようなのだ。
アロナックス教授に対して、
「海はすべてです。地球は海から始まり、海で終わることでしょう」
「ここには支配者はいません」
と結んでいる。
地上へは永遠に戻れない、そう言われたアロナックス教授たちは、仲間とともにネモ艦長とノーチラス号から逃げ出すことを決意する。
ネモ艦長の家族や子供たちは、地上の何者かに生命を奪われたのかもしれない。
艦長室に夫人や子供の写真がかざってある様子が最後のほうで描かれている。
アロナックス教授たちは、無事ノーチラス号から脱出し、地上で保護される。
実は最後にネモ艦長とノーチラス号はどうなったのかまでは書かれていない。
最後まで謎は謎のまま、ネモ艦長の目的も分からぬままに物語は終わる。
その時以来海での不可解な事故や怪物は現れなくなるのだ。

「海底二万マイル」には、たくさんの謎があり、しかもその謎を残したまま物語は終わる。

続きはあまり知られていないが、「神秘の島」という本で明らかになるそうだ。
ぜひ読みたいと思う。
あとがきに、子供のときに読んでわくわくした本は、大人になってからもう一度読んでみるといい、と書いてあった。
物語の深い意味が分かるから、と。
この本は書かれた当時、世界の多くの国を植民地にしていたフランス人によるものだ。
ネモ艦長や物語の内容と照らし合わせて読んでみると興味深い。
なぜなら、フランスが圧制者だった過去があるから。
冒険というかたちで少年には胸躍る話になっているが、改めて読んでみると別の感動があった。
圧制者であった国から、圧制者を批判する本が出版されるというのは一つの文化だ。
これを誇りに思うフランス国民は多いと思う。

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コメント

  1. 匿名 より:

    「その怪物に沈められられたことで、怪物の招待がはっきりとする」と書いてありますが、招待ではなく正体なのではないじゃないでしょうか?気づいてたらすみません

    1. mrgarita より:

      ご指摘ありがとうございます。早速修正しました!
      確かに「正体」の方が正しいです。
      見て見ぬふりをしがちな現代ですが、こうして匿名さんのようにきちんと言っていただくとありがたいなぁと思います。

      mrgarita

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