本の感想:星の王子さま/サン=テグジュペリ(著) 正真正銘の大人とはなにか

星の王子さま
サン=テグジュペリ(著)
内藤 濯(訳)
星の王子さま (岩波少年文庫 (001))
わたしは、この本の挿絵がすきだ。宮沢賢治がいう「すきとおったたべもの」のようだ。
訳者あとがきにある通り「童話の域を超えている童話」であり、名言のオンパレードだ。
読んだ年代によって立ち止まりたくなる違った言葉がそこにある。
ー 「本当に大切なものは目に見えない」
大人というのは、子どもが大きくなったものなのだ。
星の王子さまから見た大人たちの滑稽さを笑っている自分は一体誰なんだ。
かつて子どもだったわたしである。


ー 砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだよ。
ー 家でも星でも砂漠でも、その美しいところは、目に見えないのさ。
星の王子さまが出会った大勢の大人たち。
王子は大人に会うたびに、
「おとなってへんだなあ」
と言う。
その「へんな」大人にわたしも気づかぬうちになっていた。
自分が子供だと認識している子供と自分が大人だと認識している大人ではどちらが多いだろう。
星の王子さまとサン=テグジュペリの願いは同じである。
二人の願いがかなうのは、いつからいつまでが子供で、いつからが大人なのかではないことに読者が気づくときだろう。

訳者の内藤濯(ないとうあろう)は、こうつぶやく。
いつもでも子供ごろろを失わずにいる大人こそ正真正銘の大人である
「本当に大切なものは目に見えない」のであれば、「家でも星でも砂漠でも、その美しいところは目に見えない」のであれば、大人にしか見えないわたしの中の「子供ごころ」こそきっと大切で美しいものなのだろう。

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