本の感想:副島隆彦著「欧米日やらせの景気回復」で気に入った部分

欧米日やらせの景気回復
副島隆彦(著)
欧米日 やらせの景気回復
本の帯には、
”世界強調ジャブジャブ・マネー”が作り出したこの円安、株高に騙されるな!
とあった。
この本には、「金融」に関する警告あるいは、予告の類いが多く入っており、お金で騙されないためにも購買意欲を誘われる本だ。
しかし、わたしは、別の部分が気に入った。


前半部分では、現在の円安、株高の理由とその原因を探っている。実名をあげて非難している部分もあり、激しい。
著者の言い分は、こうだ。

・現在の円安と株高は、欧州とアメリカそれに日本が共同で作り出したものだ。
・CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)というバクチのような金融派生商品で、利益をうけるはずだったものをすべて帳消しにしてしまった。(大銀行をつぶさないために)
・基本的には、円高・ドル安の流れは、変わらない。
・マスコミが横並びで報道するのは、「三宝会」という組織がからんでいる。
・三宝会の一部には、NHKを含めた11社が集まる「政治部長会議」があり、ここでテレビ・新聞の報道の大枠が決まる。
・大阪知事「橋下徹」も劇場型政治で、これを推進しているのが、「三宝会」である。
・日本は小泉純一郎元首相と劇場型政治を推進する親米派「三宝会」との関係が強い。
・小泉純一郎は、日経新聞の杉田亮毅会長と密接な関係があり、その先は、アメリカの世界最高実力者デイヴィッド・ロックフェラーにつながっている。

日本が借金大国だとマスコミや新聞テレビを通じ、危険だと煽っているのは、アメリカの策略だと述べている。
その策略とは、もちろんアメリカドル中心で、ドルが強くあるための。
わたしは、はじめて副島氏の本を読んだ。
氏は、国民に対する警告や「これからは、こうなる」といった予告的な本を以前から出している方だ。
この本の中で、自著を紹介していたが、英会話の本等もだしており、興味深い。そちらの本の方がむしろ読みたいなあ、と思ってしまった。
著者の副島隆彦氏は、国家予言者を名乗っている。
自分で自分のことをこう言いきってしまう人も珍しい。自信があるのだろうか。
この本を読んだ時点(2012年5月9日)で、予言が間違ってた部分があるので、指摘しておく。
フランスの大統領選で、
「やっぱり、現職のサルコジが勝って再選されそうである」
と書いてある部分は、すでに結果が出ており、野党候補のフランソワ・オランドが勝った。
本書は、徳間書店から出ている。
副島隆彦は、あとがきに徳間書店の理事である力石幸一氏の名前を挙げ、現地調査に一緒に行ったことを書いている。
そして、調査費は、すべて徳間書店が出してくれたと書いてある。
本の著者と出版社の関係では、出版社が著者にお金を出すことは、よくあることと思う。
しかし、「国家予言者」を自ら名乗るのであれば、調査費は、自腹を切るべきだ。
なぜなら、本を書くのは著者の勝手だし、著者自身が「使命をもって」望んでいると宣言しているからだ。
わたしが、気に入った部分は、最終章の第5章「これから富裕層が“一網打尽”にされる」に書いてあった一節だ。

[中略]
それは、本(書物)を人にあげてはいけないのと同じだ。
読書を他人に強制してはいけない。
もらったほうは迷惑だ。本というのは宗教団体の本にしか思えない。もらってもありがた迷惑である。だから本を友人・知人に贈呈してはいけない。「この副島隆彦の本は、おもしろいからぜひ読みなさい」と友人にあげても、本当のところは、その友人は読まない。それは人に考え(思想)を強制することと同じだからだ。人は読む気になれば、自分で書店で買って読む。それ以外は強制だ。自発的な読書でなければ読書ではない。

この本は、わたしは嫌いではない。
好きな部分もあり、嫌いな部分もある。
人に対しても、抱く感情は全く同じである。

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