本の感想:僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?

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僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
木暮太一(著)
僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)
帯の「40年間ラットレース!」というコピーも目を引いたが、タイトルが何よりもわたしの目に飛び込んできた。
ということは、わたし自身がそう感じているからに他ならない。
会社員のわたしは、5年ほど前から「働き方」について考えてきた。
「働き方」についての一つの答えが本書にあった。


本書はいわゆる自己啓発本でもないし、独立開業をめざす人の本でもない。
もちろん、株や不動産などの投資本でもない。
それは著者が本書の中で、きっぱりとことわっている。
著者の木暮太一は大学時代にマルクスの『資本論』とロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』の2冊を深く読み込んで、その後の人生が変わったそうである。
この2冊を、一般の認識で単純化すると『資本論』が共産主義のすすめで、『金持ち父さん〜』が投資のすすめだろうと思う。
わたし自身の過去からの認識もそうだった。
わたしは 『資本論』は読んだことがないが、『金持ち父さん貧乏父さん』は10年ほど前に読んだ。
その当時のわたしは、『金持ち父さん〜』が一般の人に投資をすすめているという認識しかなかった。
本書を書いた木暮太一の受け取り方は違う。
マルクスの『資本論』、ロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』の2冊とも資本主義経済の中でのわたしたちの置かれている状況についてきちんと分析している本だと読み取ったのだ。
資本主義の構造を解き明かすことで、その社会でのベストな「働き方」を探そうと著者は10年間に及ぶサラリーマン時代もそしてその後も学んできたというのだ。
前半は、資本主義の構造と労働者が必然的に置かれる立場について説明をしている。
これが分かりやすい。

「労働者は、明日労働するのに必要な分の給料しかもらっていない」

資本主義の構造を解き明かした「第1章 僕たちの『給料』はなぜその金額なのか?」で述べられている言葉なのだが、第1章を読んだ後だとしっくりとくるので、ぜひ読んで頂きたい。

「がんばって成長しても得られるものは変わらない」

というショッキングな言葉も登場する。
例え話が面白い。
生存競争が激しい熱帯雨林に生息している樹木は、どの木も、隣の木よりも多くの光を得ようと上へ上へと伸びる。
(中略)
すべての木が同じことを考えているため、熱帯雨林の木々は非常に背が高い。
ところが、ふとその熱帯雨林を俯瞰(ふかん)して全体を見渡してみると、光を得ているのは最上部の葉っぱだけだということに気づく。
(中略)
すべての木の背が低くても「各樹木が得られる光の量は同じ」ということだ。

わたしたちの姿そのものだという例えである。
熱帯雨林の木々がさらに悪いのは、背が高く伸びた分、より多くのエネルギーを必要としていることなのだと指摘している。
生きるために知らず知らずに巻き込まれたラットレースにエネルギーを無駄に費やして、得られるものが少ない。
まさに熱帯雨林の木々はわたしたち自身なのだ。
各章のタイトルを読めば、多くの人が知りたいことばかりだと感じる。
実際に読んでみると、このタイトルがキャッチだけのものではない「答え」を著者は用意している。
第1章 僕たちの「給料」はなぜその金額なのか?
第2章 僕たちは、「利益」のために限界まで働かされる
第3章 僕たちは、どうすれば「高い給料」をもらえるようになるのか?
第4章 年収1000万円になっても、僕たちには「激務」だけが残る
第5章 僕たちが目指すべき「自己内利益」の増やし方
第6章 僕たちは、どういう「働き方」を選択すべきか
資本主義社会は競争社会。
競争があるため、物が効率よく安く手に入るようになるのは必然。
物の価値が少なくなるのも必然。
したがってわたしたちの行う仕事の価値も減っていくばかり…
資本主義を勉強した人からすれば、当たり前のことなのかもしれないが、本書では平易な言葉で、なおかつ分かりやすいもの(「おにぎりの値段」や「熱帯雨林の木」など)に例えて説明してくれており、すっと頭に入ってくる。

「かつて目指していた場所」でも、実際にそこにたどりついてしまうと、すぐに満足感は消えてしまうのです

考え方や生き方についても著者は資本主義の構造について適切な言及をしている。
人間の習性についてだ。
若い頃に「毎月20万円もらえたら楽になるのになぁ」と考えていたとして、それを貰うようになると慣れが生じてさらに欲するようになる、などだ。
資本主義社会では、20万円貰って満足しなくなるだけに留まらない。激務だけが残るのだそうだ。

「資産を作る仕事を、今日はどれだけやったか?」
「ひとは、1年でできることを過大評価し、10年でできることを過小評価する」

最終章の第6章は何度も読み返すと思う。
著者の言う「資産」とは、短期間で身につくものではなく、他の人が身につけようとおもってもなかなか身につかないもの。
10年は掛かるもの。
「資産」とは、それを使って最初からするよりも楽ができるようになるものを指す。
10でやっていた仕事が2でできれば明日へのエネルギーも湧いてくるでしょ、という訳だ。
だから、資産を増やす努力をするといいよ、目先のお金に惑わされないで、と著者は説いているのだ。
そう考えると「継続は力なり」と説いた昔の人は誰だか知らないが偉大なのだなあとつくづく感じる。
別の角度から「継続」の大事さを気づかせてくれた著者にも偉大さを感じずにはいられない。
「資産」を作るのに転職をすすめることはしていない。事業をはじめたり、投資をはじめることを否定はしないがそんなことをしなくても「資産」は増やせるのだと本書の中で著者は何度も訴えている。
それは、会社員でも出来ることなのだと。
なぜなら、資本主義社会においてどうしたら「なかなか楽にならない働き方」を変えられるかということを簡潔に平易に説明をしてくれている本が、「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」だからである。
わたしもほんとうの「資産」を少しずつ増やしてゆこうと思い、本書をゆっくり閉じた。

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