本の感想:アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

面白かった本(その他)

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した
ジェームズ・ブラッドワース(著)
濱野大道(訳)

現代に復活した奴隷制度をあぶりだした体験記ととらえてもいい。

横文字と離職率

アソシエイトギグエコノミーと言えば聞こえがいいが、これらは英国植民地時代に行われていた奴隷制度となんらかわらないのではないか?という著者の視点はこれらの仕事を体験して得たものだろう。

場所は英国。最底辺の労働と言われている「アマゾン」、「介護施設」、「コールセンター」、「ウーバー」の4か所に潜入したジャーナリストの体験記である。

日本でも介護施設やコールセンターなどは、いずれも離職率が高い職場だ。
英国では、就職しやすいということから離職率の高い職場に移民が入ってくる。離職率が高くてもいくらでも求人できるという循環が生まれている。これは日本での留学生の就業問題に似ている。

雇用する側が有利に働く仕組みは、就業する側を現代の奴隷に追い込んでいる。
アマゾン倉庫の劣悪な職場環境を本書で知った後では、ネットで簡単にポチることを躊躇するに違いない。

言葉の定義と現代の奴隷制度

参考になったのは、著者のジェームズ・ブラッドワース氏は、こうした職場で使われている言葉を疑問視しているところ。

例えば、アマゾンのアソシエイトという言葉。アソシエイトは、アマゾンの仕事に従事しているパートナーを指す。
ウーバーを使って稼ごうとする人はギグエコノミー(単発のライブから転じた言葉)というオンラインを通じて得た短期的な労働を指す言葉が使われる。

仕事上アマゾンやウーバーに指定される事柄が多い。(ウーバータクシーではお客のリクエストを何回か拒否するとアカウントが停止になる等)
働き方が自由なように見せかけて実際は自由がない。働けば働くほど本人よりアマゾンやウーバーに多くのお金が入る仕組み。
これって形を変えた奴隷でしょ?というわけだ。

英国での体験記ではあるが、すべて日本の現実でもある。

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