わたしは文庫本ではなく、kindle版で読んだ。電子書籍は欲しいときにすぐに読める利点がある。
みんな孤独だけど
喜多嶋 隆(著)
爽やかな後味の短編集。
<自分が自分らしくあるために生じる孤独>が各短編の中心にある。
すべて女性が主人公。軽く読めて元気がでる著者が言うところの「ビタミン小説」。
あとがきにあるように著者の喜多嶋隆は広告制作の仕事をしていた経歴をもつ。
「宅急便で届く恋もある」
「あの日、二人で虹を見た」
「愛はマスタード」
「レンズごしに、好きだと言った」
本書に収録されている短編のタイトルがどれもCFのキャッチコピーのようにかっこいい理由が著者の経歴でよく分かった。
特に最後の「レンズごしに、好きだと言った」のラストでは、このコピーにうならされてしまう。
表紙の砂浜にたたずむ女性が誰なのかは本書を読むとすぐに分かる。
わたしはどちらかというとライト小説というジャンルの本を読まない。読んでいる最中だけ楽しいよりも、読んだ後も考えさせられる小説の方が好きだからだ。
本書は読んでいる最中だけ楽しい。登場人物のセリフやタイトルなどが格好よくしかも練られていてよく作られたCFのようについ引き込まれてしまう。
こういう小説もいいな、と素直に感じると同時に人生はいいな、と思った。
著者が本書のテーマでもある<前向きな孤独>を語ったあとがきでの言葉
人が、何かをめざそうとするとき、何かをやりとげようとするとき、ごく自然に漂わせる孤独感と言えるのかもしれない。
には、ライト小説にはない感慨がある。
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