ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論
小林よしのり(著)
小林よしのりの漫画を人にみせると「字が多い」と口をついて出てくる人が多い。
ジャンルで言うと、「反TPP論」は、漫画だ。
しかし、わたしは、漫画と本のどちらでもない気がする。
わたしには、「漫画」の定義がよくわからない。
ネット上では、検索を最適化するために、情報がデータベース化されている必要がある。
ブログしかり、ネットショッピングしかり、2チャンネル、YouTubeしかりありとあらゆる情報が、ジャンル分けされている。
わたしは、本にしろ映画にしろ、ジャンル分けできないものもあると、常々思っている。
それぞれ唯一だと思うし、個性的な作品に遭遇するとジャンル分けすることは相手に失礼な気がしてしまうからだ。
小林よしのりの「ゴーマニズム宣言」シリーズは、特に漫画の体をなしているが、文字が多い。
「戦争論」なども読んでみたが、漫画だと思っては読んでいなかった気がする。
漫画ばかり読んでいる人や、漫画だと思ってこの本を読んだりすると「うわっ。文字が多い」となる。
表現方法は、千差万別。「小林よしのり」というジャンルなのかもしれない。
本書は、タイトル通り、TPPに対して反対意見を述べた本である。
明治以降の歴史を持ち出して、鎖国から現在のTPP交渉への参加へ突き進んでいる日本と外国(特に米国)との関係をこのままでいいのか、という視点で描いている。
TPPに対してよく分かっていなかったわたしからすると、分かり易く書かれた(描かれた)本である。
著者の意見は、明確だ。
米国は、日本に対してTPPに参加して欲しいと思っている。
なぜなら、TPPに参加している日本以外の国とやりとりしても儲からないから。
お金を持っている国に参加して欲しいのだ。
日本は、後からの参加である。不利な状況であえて参加していこうとするのは、なぜか。
米国の機嫌をとるためだ。
日本のポチ公は、いまだ有事の際、米国が日本を守ってくれるのだという幻想を抱いている。
これは、憂うべきことだ。
日本を売ってまで、TPPに参加する必要があるのか。
わたしは、日本が何事に対しても米国に強く言えないのは、第2次世界大戦で米国に負けたからだと思っている。
喧嘩に負けた方が、相手に強くあたれるわけがないと思う。
もちろん、今現在生きている日本人にしろ、米国人にしろ当時の戦争を知る者は、わたしも含め少ない。
個人個人では、戦争はもう過去の話だ。しかし、国という単位では、戦争は過去の話ではないのだ。
改めて歴史の重みを考えさせられる。
「一身独立して、一国独立す」
やはり国を構成する単位が「人」である以上、他人に依存しない生き方を実践していく最小単位もわたしたち一人一人なのだろう。
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