つぶらな瞳でも馬はニンジンを要求する

そういう気持ち

競走馬を引退した馬たちが余生を過ごす牧場NASU FARM VILLAGEに行ったときのこと。

広大な牧草地が見渡せる牧場内では、馬に乗って牧場をまわったり餌やり体験ができる。

わたしは妻と馬にニンジンあげることができる餌やり体験をした。

馬は4頭いた。

1頭だけ白い馬がいた。わたしは最後のニンジンは白い馬にしようと心に決めて別の馬に向かった。

すると白馬はこっちをみながら、目の前の壁を「ドン」と思い切り蹴ったのだ。

「ドン」「ドン」とさらに壁を蹴る音は続く。

こっちだよ!と言わんばかりの行為に妻とわたしは怖くなって、しぶしぶ白い馬にニンジンをあげたのだった。

そういえば、ニンジンの代金を料金箱に入れようとしたとき、別の馬はじっとわたしが持った500円玉を凝視していた。

きっと馬は内心でニンジンにありつけると考えていたに違いない。

わたしたちが餌やりを終えたとき、ちょうど入れ違いで若いカップルが入って来た。

カップル二人が餌やりをするところは見なかったが、そのあとまたドン!ドン!と大きな音が聞こえてきた。

馬はつぶらな瞳だが、人間の想像とは違いよこしまな心で世界をみている。

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