「俺が今おるのは奇跡みたいなもんよ」
と原爆後に生まれた伯父は言った。
伯父にしてもそうだが、わたしだって父が原爆の被害者になっていたなら、この世にはいまい。そう考えるとわたしの息子や娘だって。今の自分たちがあるのは奇跡と言える。
わたしの父は長崎での被爆者だったが、わたしの祖母(父の母親)もまた被爆者だった。父も祖母も爆心地から5km圏内での被爆だったようだが、祖母は翌日に爆心地から1.2kmにある自宅までもどっている。そう伯父は続けた。
爆心地から5km圏内での致死率は、1%以下だという。
そんな中で、父は73歳まで生き、祖母は86歳まで生きた。
たまたま居合わせた場所が良かったのか。
何が影響したのか分からないが、生きていたというのは奇跡という以外にない。
「人生に意味があるのかな」とか考えることはしばしばある。
しかし、わたしがそうであったように、多くの人の人生もまた、歴史をたどればきっと奇跡に違いない。
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