300字小説「のぞき見」

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長崎瞬哉(詩人)
のぞき見

学校からの帰り道、僕が僕の前を歩いていた。

僕にそっくり、というより僕自身なのではないかというくらい似ている。
服装が制服なのはいいとして、鞄を右手に持つところ、歩き方、横顔までビデオの中の自分を見ているみたいだ。

僕はその先の花屋を左に曲がる。

彼は…?曲がった!
先を行く僕は当たり前のように左に曲がった。3軒先はもう僕の家だ。
入った。

え?僕は何となく気まずくなって、玄関を抜け庭にまわる。
庭の木の陰から家の窓を覗いた。
僕が母と笑いながら話している。母さん、それ僕じゃないよ!
妹も入ってきた。妹も僕が僕じゃないことに全く気づかない。

その時、耳元に気配を感じた。

「のぞき見はよ・く・な・い・よ」

僕の声だった。

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