鏡の中の自分を殺せるか?

読んだ本

わたしの好きな漫画に松本零二描いた銀河鉄道999(スリーナイン)がある。
ここに登場する地球では、機械人間と生身の人間がいる。
機械人間は永遠の命を持っている。対して生身の人間は限りある命だ。
生身の人間は、現代の地球で言う動物のような扱いを受けている。例えば、狩りの対象にされる。
機械人間に殺されたお母さんの分まで生きようと、永遠の命を求め銀河鉄道に乗り、宇宙を旅する少年哲郎が物語の主人公だ。
銀河鉄道999の最後の巻だったと思うが、印象に残っている言葉がある。

「鏡の中の自分を殺せるか?」

哲郎と一緒に旅をする謎の美女メーテルの母親である女王プロメシュームが叫ぶシーンだ。
A sunset of one day - iPhone
【写真/2010年9月29日の一番星】


この言葉を最初に聞いたとき、何度か頭の中で反芻(はんすう)した。

鏡の中の自分は絶対に殺せない。

自分が映っているだけだからだ。
鏡に映った自分を殺すには自分自身を殺すしかない。
いつもわたしたちは、自分の姿を確認するとき、鏡に映る自分しか見ていない。
人は、自分自身を一生自分の目では見ることができない。
鏡の中の自分とは、まやかしで本来の姿は見えてはいない。
自分こそ身近な存在だが分かりにくい存在でもあるということだろうか。
色々なことを考えた。
銀河鉄道999では、最後に主人公哲郎とメーテルが、それぞれ別の道を歩んでいく。
少年が成長する過程には憧れや挫折はつきものだ。
哲郎の「憧れ」である永遠の命である機械の体。
銀河鉄道の旅で、哲郎は生身の人間の尊さを知り、最後には永遠の命ではない生身の体を選択する。
わたしの乗った銀河鉄道の旅はまだ続いている。
憧れは現実となったものもあれば、夢と消えたものもある。
大切な人との別れもやってくるだろう。
旅の終わりに心に飛び込んでくる言葉はなんだろうか。

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