本の感想:Voyage 想像見聞録

面白かった本(小説)

Voyage 想像見聞録
宮内 悠介(著)/藤井 太洋(著)/小川 哲(著)/深緑 野分(著)/森 晶麿(著)/石川 宗生(著)

人生って旅だよなあ」が読後の素直な気持ち。
隙間時間に気軽に読めるヴォリュームの短編集。
」と「SF」が好きならより一層楽しめる6人の著者による6つの物語を収録。

本書のタイトルから「旅」がテーマであることは容易に推測できるが、「旅」の中身は多彩だ。

『国境の子』

近くて通い日本と韓国。小学校時代のあだ名「韓国さん」に負い目を感じる主人公が、まだ見ぬ父親を訪ねて国境をわたる旅。読後の爽やかさが光る主人公の成長物語。

『月の高さ』

一時的な仕事の助手熱田と主人公の「私」が、舞台装置を運ぶ途中の旅物語。突然の大道具の寸法変更連絡に急遽2人が車を止めて舞台装置の改修に臨む。
仕事で結びついた年の離れた男女2人のやりとりがかっこいい。

『ちょっとした奇跡』

地球人類の未来を描いた宇宙の旅。
終わりが見えた世界で決して出会う可能性の無い男女のカップル
悲しいけれど一瞬の奇跡に心温まる。

『水星号は移動する』

動くホテル水星号の女主人と雇われの身である「僕」とのあてのない旅。
謎の女主人メルの口癖 ”宿にはその宿のあるじの旅観が出る”が印象的。

『グレーテルの帰還』

再会までの年月という旅。グレーテルがいるからにはヘ〇〇ルもいるわけで…。
グレーテルの帰還は何を意味するのか?不穏な空気が全編に漂うミステリータッチの物語。

『シャカシャカ』

これが一番SF的。時空をめぐる旅とでも言おうか。
物語が時系列バラバラに展開していくため、読者は置いてけぼりを食いそうになるが最後まで読んで納得。「あっ。そういうこと!!」という驚きが得られる。面白い。

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