ぼくはお金を使わずに生きることにした
マーク・ボイル(著)
変なイギリス人男性の書いた本。
これを読む人も(わたしを含め)かなり変人だと思う。
1年間の期限つきで「カネなし生活」を決行したこのマークというイギリス人は、ある程度は前準備をして望んだようだ。
コンポストトイレ、ロケットストーブ、ビーガン、フリースキル、オフグリッド…カネなし生活に必要な色々な考え方や用語が本書では登場する。わたしはロケットストーブが一番気になった。これらの用語を知るだけでも面白い。
著者がこの「カネなし生活」に対して自分に課した条件は、
・金を使わない
・化石燃料を使わず、またそれらを使う乗り物にものらない(ただし同じ方向に移動するならほぼ燃料代が変わらないという意味でヒッチハイクはOK)
・食事に招待されたらことわらないが、「カネなしで可哀想に」という誘いであれば断る
などなどユニークな条件がならぶ。
また、自分の情報発信にはパソコンやメール、ホームページなどを使っていることからすると、極めて現代風のカネなし生活だ。
ただし、電気代は自家発電で賄っているらしい。
タダで手に入ったトレーラーハウスがあったり、自宅近くには自生している自然の食べ物が豊富だ。農業のボランティアをすることで野菜も手に入ることなどを考えると、「誰もが」「どんな環境でも」出来る「カネなし生活」ではないと感じる。
読む人によっては、イギリスでの「カネなし生活」って人間らしい生活でいいよなぁ、などと考えてしまうかもしれない。
いい環境といい仲間たちに恵まれたね!と思ってしまうほど「カネなし生活」の問題点が見当たらない。
途中、本書を永久に開かないでおこうかと考えたこともあったが、わたしが本書を最後まで読み進める理由が一つあった。
それは、著者が1年間の「カネなし生活」の後、どう結論づけるかということだった。
期間が終われば、また元の生活に戻り、環境問題を訴える人の仲間入りをする。それとも、期間が終わったあとも「カネなし生活」を続けていくのか。
著者の結論は、本書を手に取って読んで頂くとして、わたし自身は本書を読んで良かったと思った。
なにより、実はみんなうすうす感づいてはいる「お金がないと生きられない」という幻想について、きちんと行動で打ち破ってみせた著者に拍手を送りたい。
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