以前小説を読んで面白かったせいもあり、映画『罪の声』を観に行った。映画では、原作には無かった設定がいくつかあった。通常原作には無い設定が映画にあったりすると、違和感を持つことも多いが、この映画に関しては原作を凌駕していたように思う。つまり面白かった。
映画独自の設定については伏せておくが、『罪の声』の元になった事件があった昭和であれば、この設定に現実味がでて納得がいく。映画の配役も合っていた。星野源は本当にテーラー屋の主人にしか見えなかったし、小栗旬は仕事をあきらめた新聞記者にしか見えなかった。2人とも抑えた演技でこの事件の真相にせまっていく様子は手に汗握る展開だった。
『罪の声』は昭和の未解決事件「グリコ森永事件」をモチーフにしている。未解決だから色々な取材がなされて憶測も多い事件だった。当時中学生だったわたしは怪人21面相を名乗る犯人の脅迫文にあった「せいさんソーダ」を当初おいしそうなものだと勘違いしていた。脅迫文を新聞社などに送り付け世間に向けて情報を発信した日本で初めての劇場型犯罪とも言われている。
この事件と映画の一つのキーワードともなる金銭受け取り場所の指定に使われた録音された子供の声。映画ではSONYのラジカセから、つまりカセットテープを使って流れていた。わたしの年代などはカセットテープというだけで当時の家庭での生活、学校、友達……昭和の空気間のようなものを身近に感じることができる。当時の事件や自分も含めて思い出させてくれたという意味で貴重な映画だった。
「グリコ森永事件」に使われた子供の声の主は少なくとも3人いるらしい。大人になっていれば30~40代。事件はまだ終わっていないのだ。
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