古本探索:表紙のイラストと挿絵のギャップ『時空の旅人』角川文庫版

面白かった本(小説)

表紙のアニメ調のイラストと本文の劇画感のある挿絵とのあまりのギャップに思わずうなってしまう古本。

時空ときの旅人 前篇(全3冊)
眉村卓(著)

発行情報

角川文庫版 昭和61年7月10日 改版4版発行

どうやら表紙の絵は角川からアニメ化されたときのものらしく、絵は萩尾望都もとによるものとなっている。
本文の挿絵はアニメ化前から使われている挿絵らしく、劇画調である。わたしは江戸川乱歩の少年探偵シリーズの挿絵を思い出してしまった。

表紙と挿絵の比較

左側の表紙で銃を手にしている黄色い服の少年は、未来から来た少年である。
右側の挿絵で銃を手にしている人物も大分老けて見えるが同じ少年である。(ちなみに左側表紙のセーラー服の少女は、右側の挿絵では左下でこっちを向いている少女である。だいぶ年配に見えるが…)

とんでもタイムトラベルSF

本小説は、SFとして面白い。
未来から来た少年は生活に嫌気がさして過去に逃げ込もうとしている。
科学がすすんだ未来人の彼は現代のスクールバスをのっとり、ある装置をつけてスクールバスをタイムマシン化させてしまう。
たまたまスクールバスに乗り合わせた主人公たちや先生がその未来人と一緒にタイムトラベルしてしまうというとんでも話だ。
しかもこのタイムマシン、過去にしか行く事ができない。果たして主人公たちは現代へと戻ることができるのか?といった所が物語の最大の焦点だろう。

本を手にして最初に見たのが表紙のアニメ調の絵だったので、読んでいて最初に劇画調で銃を持った少年が登場したときは一体誰だこいつは?となってしまった。

過去にしか行けないタイムマシンなので古臭い絵になるのはいたしかたない!

わたし自身は、挿絵の雰囲気が嫌いな訳ではない。(むしろ好きな方だが)
しかし、せめてアニメ化したときくらい挿絵を萩尾望都さんで統一しても良かったのではないかと思うのである。とはいえ、こういうギャップは個人的に大好きである。

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