電話はこわいもの

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「電話を受ける」という行為がとてもこわい。
携帯電話やナンバーディスプレイサービスをつけた固定電話では、相手の電話番号が基本的に表示される。
こわいのは、登録されていない人からの電話だ。
相手のナンバーが表示されるものだから、変に推理してしまったり、固定電話の番号だとある程度地域が推測できるため余計に気をつかって「相手は誰であるのか」考えてしまう。
この「相手が誰かわからない」ところがとてもこわいのだ。


一回だけ鳴って切れるというパターンも、かなりこわい。
一体何がそうさせたのか、深く考えてしまう。
というわたしもワン切りをしたことがある。相手の番号を間違えたときだ。
人の気も知らないで悪いことをしてしまったと思う。
一回しか鳴らない電話のベルは、次のベルが鳴らない。次のベルを待つ時間が永遠にも感じられる。
この間がこわい。

以前の電話は不在着信という履歴は残らない電話であったが、やはりこわかった。
わたしのいう以前の電話とは、黒電話のことだ。
黒電話は基本的には電話を「受ける」「かける」しか出来ないため、誰それからいつ何時に電話があったよという情報はなにも残らない。なにしろ黒電話だから。
黒電話も後半はプッシュボタン式になったり、(最初はダイヤル式といって番号をまわすタイプだった。電話をかけるときの指の動きはまるでトンボを捕まえるときのようにぐるぐると動いていた)キャッチホン機能がオプションでつけられたりした。
キャッチホン機能というのは、電話をしている最中でもかかってきた相手からの電話が受けられる機能だ。
最初にかかってきた相手と話しているときに後からかかってきた相手のほうに出るとかなり気まずいというか失礼な機能でもある。
便利なのか不便なのかよくわからない。わたしは不便だと思っている。
かつて黒電話とキャッチホンとの組み合わせにおいて、わたしはかなり「こわいこと」を考えていた。
連続「不在着信」だ。
キャッチホン機能の電話に相手からかかってきたとする。
わたしが「もしもし」といっても誰もでない。しかし通話は開始しており、通話料金もカウントされていく。
その何もしゃべらない相手との通話中(というか通話していないのだが)にキャッチホン機能が働きまた別の人からの電話がかかってくる。
しかたなく、わたしは2番目の相手の電話を受ける。
「もしもし!」
「……」
相手は、何も答えない。
しかたなく、もとの電話に戻す。
「……」
どうすればいいのだ。
こんなこわいことはない。
このまま双方の電話を切っても、わたしには何とも言えないわだかまりが残る。
相手の二つの顔の無表情を想像して寒気がしてきた。

と、こんな「こわいこと」を考えていた。
なぜ「電話を受けること」がこわいのかというと、相手の顔を見ることが出来ないからだと気がついた。

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