超能力シスター

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長崎瞬哉(詩人)

「超能力者っているのかなあ」妹が俺に聞いてきた。

「いるんじゃない」

 俺はめんどくさそうに答える。

「やっぱいるんだ……。それ、わたしかなあ?」

 たまに妹は突拍子もないことを言う。

「なんでさ?」

「だって時々相手の考えていること分かるんだ」

「例えば?」

「うーん、この前の学期末テスト。目の前の席が優秀なユキだったんだ。わたし分かんない問題あったんで、ユキの答案どうにか見れないかと…」

「カンニングか」

「違う、違う。見れないから透視したの。そしたらポッって頭が真っ白になって問題の答えが緑色の文字で浮かんできたの」

 さらっと《透視》という言葉を使う妹にも仰天したが、テスト中にポッと浮かんだ《緑色の文字》というのもなにやら気にかかる……まあそれはそれとして、そのポッと浮かんだ答えとやらは正解だったんだろうな?いや、まてまて、正解だろうが不正解だろうがその優秀なユキちゃんも同じ答えを書いたとは限らんだろう。だろ?俺は妹に問いただした。

「一応きいておく。お前が頭にポッと浮かんだ答えは正解だったのか?」気になった緑色の文字の件は脇に置き、俺は妹に問いかけた。

「うん。その緑色の文字ね、なんと正解だったんだよ!」

 あえてふせたのに登場、緑色の文字。
 一度見てみたいねえ……と、まあいい、さらに俺は問いただす。

「ユキちゃんも同じ答えだったんだろうな?」

「えっ、何で?」

 あちゃー。だめだこりゃ。
 俺は妹に超能力以前の話をしなければならなかった。つまりは、物事は論理的に考えなければ真実に近づけない。ちょっと難しいか。つまり、もしそれが超能力なら優秀なユキちゃんの答えと妹のポッ浮かんだ緑色の文字とが一致している必要があるということ。そして、一度だけならまぐれかもしれないということ。そもそもテストは勉強して臨む事、云々。気づけば俺は妹に10分以上講釈をたれていた。さすがに疲れた。

 スーパーのパック詰め魚の目の色に変わりつつあった妹は、ふいに息を吹き返し俺に言い放った。

「お兄ちゃん。わたしを疑っているね?あと今、疲れたって思ったでしょ?」

「ああ、当然だ」

「やっぱりぃー。イエーイ、正解!!やっぱ超能力者じゃん、私って!」

 真正のアホだ、こいつ。これはある意味《超》能力者なのかもしれん。

「おにいちゃん。ヒドイ!今、真正のアホだってわたしの事考えたでしょ。赤色の文字出てきたよ!」

 今度は《赤》って。一度ならず二度までも。ん?もしかして妹はホントに……まさか…な。

§

 超秀才にありがちな変態的習性を妹のクラスのユキちゃんも持っていたようだ。
 彼女はなんでもテスト答案の一箇所だけを緑色のペンで記入するのだそうだ。この場合、なぜ?という疑問は謹んでもらいたい。そういう気持ちなのだろうユキちゃんは。

 そんな驚きの事実は知ったのは、妹の超能力者宣言から3か月後のことだった……

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