誰からみても優秀だと思う人が本当に優秀かどうかは社会にでてみないと分からない

「資格を持っていても、その知識を使って何か出来なければ、なんにもならないんだと感じました」
誰の目にも「優秀」だとうつる学生が卒業式の謝恩会で放った一言はわたしの胸に突き刺さった。


彼が、2年間の在学中に取得した国家資格は、3つ。
そのうちの一つは社会人でもなかなか取れない資格だったが、彼はなんなくパスしてしまった。
学校の記録を次々と塗り替えるような学生が5年に一度くらいは現れるが、彼もその一人だった。
わたしは少々の嫉妬心から彼が資格をとることに長けている人物なんだと考えていた。
しかし、彼が先生方にお礼を述べる中で放った一言で、わたしは彼に対する見方がわたしの間違いだったことに気づいた。
彼は企業実習という形で在学中に内定先の企業で数ヶ月間お世話になっていた。
先輩について仕事を学ぶかたちでの実習を彼は日々取り組んでいた。彼に教えてくれる先輩は彼が持つ資格よりも下の資格を持つのみで取得資格だけで言えば、新入りの彼のほうが上だった。わたしならいい気になって先輩をばかにしてしまいそうだが、彼は有頂天にならずにきちんと自分の状況を見ていた。

「あたりまえなんですが、資格が下の先輩の方がわたしよりも仕事ができるんです。
 資格を持っていても、その知識を使って何か出来なければ、なんにもならないんだと感じました。
 その資格に見合うような技術をこれからは身につけたいと思います」

その場で、わたしは一体どちらが先生だったんだろう、と一人考えていた。
学生に対しては「教えたこと」より、「教えられること」の方がいつも多い。

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