読書メモ:中国近代史―1840~1924 

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中国近代史―1840~1924
胡縄 (著)

かなり古い本だ。
アヘン戦争からはじまり毛沢東が登場する手前までが書かれている。

以前から、中国という国はなぜ欧米や日本に対して異常なまでに猜疑心をもって接してくるのか?という疑問があった。この本に書いてある中国の近代史を読んでよく分かった。

清朝が欧米列強に対して弱かった

この頃、中国を治めていたのは清王朝
英国からの侵略に屈した。しかし人民に対しては清朝は英国と協力して国を治めている振りをしたい。だから英国にすり寄って自分たちの顔は立てて欲しいと懇願した。

形としては(人民からみるとという意味)清朝が治める国として中国は存続した。
清朝を存続させてあげる代わりに税金のほとんどを英国にもっていかれた

英国につづき仏、独など欧米各国も中国の恩恵にあずかろうと続く。そして露、米も入ってくる。
力をつけてきた日本(当時の大日本帝国)も上海や満州を自分のものとする。
かくして中国は瓜分かぶん(他人に勝手に分割されること)された。

当時の人民はどうだったか?

清朝と各地の大地主は欧米帝国主義と結託して人民を治めていた。
人民が革命を起こそうとすると、清朝だけでは対処できないから欧米帝国主義から軍隊を送って対処してもらう
これは現実には侵略してきた諸外国が中国人民を治めていたということ。

もちろん人民もこれに気づかないはずはない。
清朝に反発した人民の中から太平天国義和団などがでてくるわけだ。しかし、農民が中心のこのチームはあくまで清朝に反発する形だったので、実質的に中国を治めていた大ボス(欧米帝国主義)に裏で動かれてあえなく鎮火しそうになる。

太平天国や義和団の人民革命の弱さは、清朝を倒して欧米帝国主義を味方につければ良いと考えていた点だと著者の胡縄は指摘している。中国人民の本当の敵は欧米帝国主義なのだが、まだ多くの人民はこれが見えていなかったと。

革命で高名な孫文もこの頃はまだ太平天国や義和団と同じく清朝を倒せば欧米帝国主義が味方についてくれるという甘い考えをもっていた。孫文はのちにこの考えを改めることになる。

米国と日本

英国は欧米の紛争にとらわれ、米国は南北戦争にかかりきりになったりと、欧米の中国を統治する力は低下することが度々あった。そこにつけこんで中国統治を急速に進めたのが日本だ。

米国は、自国の問題が解決するとすぐ中国の甘い汁を吸おうと戻ってきたが、日本が目障りだ。
当時の日本と米国は中国統治をめぐって衝突が多かった。しかし人民からすればどちらも同じ侵略者。日本製品不買運動や米国製品不買運動どちらも起きていた。

米国は清朝を助けるような振りをして、日本と清朝とを引き離そうと考えた。著者からすれば、日本は憎むべき侵略国だが、米国は日本より更に狡猾な国だと考えていたようだ。

政府が諸外国と結託して国民を殺してきた国

100年近く、中国は欧米帝国主義(露も含む)と日本に首根っこをつかまれて諸外国のいいなりになっていた。人民が革命を起こそうとすれば、清朝は欧米帝国主義に頭を下げて軍隊を送ってもらい人民を殺してきた国なのだ。

人民による革命は必然だった。

アフリカ大陸が欧米にされたように中国も瓜分かぶんされ諸外国に統治されていた。
そう考えると現在の中国が中国人に統治されていることは、人民による革命が成功したことを示している。
しかし、本書ではタイトル通りそこまでの歴史をまとめてはいない。著者が本書の次の年代を書くことはなかったようだ。

猜疑心の原点

当時、清朝だった中国政府は、人民による革命を経て現在、中国共産党となった。
人民は清朝を捨て、欧米帝国主義を捨てた。
中国共産党は、人民を指導する立場にあるという認識だ。指導する立場の人が間違うわけにはいかないのだ。

国が自国を侵略してきた諸外国と結託して、国民から金をまきあげたり、たてつく人々を殺すような国に戻るわけにはいかない。
そういう歴史感を持った国が中国だ。

欧米と日本にされたことを二度と繰り返すわけにはいかない
だから中国という国は、自国を守るため欧米に対して、日本に対して中国は異常なまでに猜疑心をもって接してくる。

本書の弱点

清朝は北方の露国からも侵略されていたわけだが、本書の露国に対する記述は欧米や日本にくらべると少ない。
そこかしこに露国に対して「偉大な友人レーニン」とか「中国に味方してくれた国」といったニュアンスの記述があり、事実とは異なる

ただ、本書は中国人民による歴史の考察として十分に優れている。
香港で出版された1900年代初期という事を考えれば、一つくらい弱点があるのはしかたない。

露国に対する記述が事実と異なる点は、訳者も「あとがき」ではっきりと述べており、露国が中国に対して行った侵略行為は、巻末に正確な記述がある。

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