泡沫の 人の世映す 鬼の夢 ~ 本の感想:鬼人幻燈抄/江戸編 幸福の庭

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面白かった本(小説)

鬼人幻燈抄 江戸編 幸福の庭
中西モトヲ(著)

人は見かけによらない。
人の一面だけを見てその人を判断することが出来ないように、鬼人幻燈抄に登場する人も鬼も決して表には出ることのない「何か」を抱えて生きている。

第2巻にあたる『江戸編 幸福の庭』は、第1巻で甚夜(甚太)と鈴音の衝撃的な別れから10年後の物語となる。
本作に収録された「鬼の娘」「貪り喰うもの」「幸福の庭」の3編は甚夜が故郷の葛野を出て10年が経ち江戸に着いてからの話となる。巻末の短編「九段坂呪い宵」を除き、連続した話となっている。

10年後の物語ではあるが、関わり合う人との中で甚夜はあらためて過去と向き合うことになる。
1巻では語られなかった話が多く登場するため、気になって一気に読み進めてしまった。
悪い父親のイメージが強かった実父。義父元治の意外な過去。人は見かけによらない。

鬼がいかにして生まれるか?その定義が3つ語られている。
鬼と鬼の交わりによるもの。2つ目に鬼と人との交わりによるもの。3つ目に人の心から。
とりわけ3つ目の「人の心から」生まれる鬼という考え方が興味深い。

印象に残ったシーンがある。
甚夜がいきつけの蕎麦屋の娘おふう。普段は不器用で明るい店の看板娘。
ある夜、月明かりの晩に木の下に一人たたずむおふうを見かけた甚夜。普段とは違う雰囲気をその人に見出すことは少し怖くもある。

鬼人幻燈抄には、人が殺され鬼が殺され、血なまぐさいシーンが多い。
であるはずなのに読み終えた後、心に暖かいものが残るのはとりわけ「幸福の庭」に代表される親と子、家族といったものの温かみを情緒豊かに描いているからに違いない。

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