本の感想:重力ピエロ

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重力ピエロ
伊坂幸太郎(著)

重力ピエロ

サーカスの空中ブランコでピエロが飛びうつったときの記憶を主人公の泉水(いずみ)が振り返るシーンがある。
父と母のやりとりの会話だ。
「楽しそうに生きてればな、地球の重力なんてなくなる」
「そうね。あたしやあなたは、そのうち宙に浮く」

わたしには、この部分が著者が一番伝えたかったことなのではないかと思ってしまう。

『重力ピエロ』という題名が気になる。
わたしは題名だけで本を読み出す習慣があるので、本書がミステリーという分野だということを知らずに読み始めた。
兄である主人公泉水と弟の春(はる)が冒頭からとっぴな行動に出る。春の言動やら行動やらが興味深い。面白いなあ、と思わず口を突いて出てしまった。
謎解き要素が現代では色々な小説で出尽くした感のあるDNAをモチーフにしているため、小説を頻繁に読む方であれば「ああ、DNAか」と感じてしまうかもしれない。ところが、謎解き要素はDNAでありDNAではないのだ。
主人公泉水と春の関係。父と母の関係。家族の関係。普通の家族ではないことは確かだ。
でも、普通の家族とは一体何だ?
きっとみんな<普通ではない>家族たちだ。

主人公をとりまく<普通ではない>家族たちは、時に面白いことを言う。

父は、
「人生というのは川みたいなものだから、何をやっていようと流されていくんだ」

弟の春は、
「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」

空中ブランコで落ちそうになるピエロを見た母は、
「あんなに楽しそうなんだから。落ちるわけないわ」

結末は映画のようだし、主人公と春のとった行動に納得がいかない読者もいるかもしれない。
でも、わたしやあなたは、そのうち宙に浮くのだ。

コメント

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