本の感想:明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち/山田詠美

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明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち
山田詠美(著)

明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち

人生よ、わたしを楽しませてくれてありがとう。

曾祖母が今際の際に書いた言葉から物語は始まる。

母の再婚で二組の親子が合わさってできた<澄川家>。物語は、<澄川家>の子供たちの視点から描かれる。母の最愛の息子である兄を家族として失ったところから、母はアルコール中毒になり、家族は不幸への道を歩き始める。

死ぬという事は、あなたとわたしの関係がなくなることだ。しかし現実は相手が死んでも関係がなくならなかったりする。
心の中で生きている、という場合。この小説は、心の中で生きているという人物が家族の中で共有されてしまい、その結果家族が不幸のどん底にたたき落とされる。
亡くなった兄<澄川澄生>の死因をとりまく描写が面白い。落雷に打たれて、という死因はどこかこっけいだ。しかし現実にはそうした死因はあるわけで、笑うに笑えない。

「人と人って、ちゃんと会って話さないと、その間に何が生まれるか解らないよ」
「愛ってさ、世の中のすべての人のための言葉じゃん」

生きているうちが楽しいんだよ。直接こういうセリフを吐く人物は登場しないが、言葉の端々にそれを感じる。
山田詠美は悲しい題材を軽く描くことをいつもする。読んでいる途中からわたしは「悲しい題材」だと考えていたのは実は間違いだったことに気づき始めるのだ。

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