本の感想:ハイペリオン

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本の感想:ハイペリオン 面白かった本(小説)

ハイペリオン
ダン・シモンズ(著)
酒井昭伸(訳)

ハイペリオン』は、1989年に米国で発表されたSF小説である。
本を見た時のわたしの第一印象は、「タイトルがかっこいい」である。

いきなり結論

最初に結論を言わせてもらうが、本書は500ページ超の2段組みで文字が小さいにも関わらず(=要するに文字数が半端ないにも関わらず)物語が完結していない。わたしはそれを知らずに読み進めていたので、本書を読み終えた時、思わず「うおぉぉぉー」とは声を出してはいないが、心の中では叫んでいた。
だから感想を言うなら、これだけ長い話なのに終わらないのか!というのが正直な感想だ。
ただし、『ハイペリオン』が面白くないという意味ではなく、むしろその逆である。読み終えて「まだ続きが読めるんだ!」と心が躍っていた。

わたしはとりわけ本を読む速度が遅いので、『ハイペリオン』を読んでいる最中、一生終わらないのではないかと思ってしまった。2段組の文章は、読みなれていないせいか文章がやけに多く感じる。

小説の概要(本文中の用語のみ解説)

舞台は、28世紀の未来。
地球はすでにオールドアースと呼ばれ世界に存在しない。その記憶だけが存在している。ただ宇宙のあちこちの惑星にオールドアース(=過去の地球)の街の名前が名残として存在する。
この世界では、人類は宇宙に飛び出した設定になっていて、移動技術の発達が顕著だ。転移網(=通称ウェブ)という技術で惑星と惑星とを結び、星から星へと瞬時に行き来することが出来るのだ。(ちなみにこのウェブは、訳者の言葉を借りて分かりやすく言うなら「どこでもドア」のこと)
ウェブと同時に押さえておきたいハイペリオン中の言葉が、独立AI群(=通称テクノコア)だ。テクノコアは、現代を予言していたかのようなシステムだ。AIが人類の政府とは別に人類社会に関して意思決定をしているという設定。すでに人類の住む世界は複雑かつ膨大になりすぎて、AIが意思決定しなければ成り立たない、という設定なのだ。これは2019年の現時点では、しゃれに聞こえないと感じるのはわたしだけだろうか。

物語は、辺境の惑星ハイペリオンに向けて7人の巡礼が出発するところから始まる。
なぜハイペリオンなのか?なぜ巡礼なのか?という疑問がでると思うので付け加える。まずなぜハイペリオンなのかと言うと、独立AI群(テクノコア)が処理できない不確定要素を持つ星がハイペリオンだからである。その不確定要素の1つがハイペリオンにいるシュライクという怪物の存在。2つ目、ハイペリオンにある時間の墓標の存在。これ以上は、読んでからということで言葉を紹介するに留めておく。時間の墓標かなり魅力的な言葉ではないだろうか。(SF好きなら)
なぜ巡礼なのか?に関しては、シュライクが神として崇められている星がハイペリオンだからである。

本書の構成は、この7人の巡礼がなぜハイペリオンに向けて出発することになったかを章に分けて語る切り口になっている。章単位で言うなら主人公は、常に1人ということになる。
しかもハイペリオンは、章で語り手が変わるごとに小説の手法が変わるという高度な小説でもある。だから一粒でいくつも美味しさがある。わたしはとりわけ、時間というものについて考えさせられる第4章の「学者の物語」と電脳空間を彷徨う映画マトリックス的な雰囲気を持つ第5章「探偵の物語」が好きだ。

最後にどうでもいい情報を紹介

本書の紹介方法として3つ考えた。

1.1990年代のヒューゴー賞・ローカス賞を受賞した小説。
2.昔ながらの2段組で500ページを超える分厚い本(しかも文字が小さい)
3.アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」で長門有希がキョンに「読んで」と手渡す本

上記1は、最近では中国の『三体』という小説がヒューゴー賞を受賞しているので、なんか凄い箔がついている本だという事が分かる。しかし、わたしは何々賞を獲ったから読むということはなるべくしないようにしているので、どうでもいい部分だ。

上記の2に関しては、本好きとしては挑戦したくなる分量である。理由は単純で、文字数が多いと本を読んでいるという気になる。
本を旅に例えて申し訳ないが、長い本は長く旅が出来る

上記3で本書を知って興味を持った、という方も多いと思う。実はわたしもこれだ。アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の中で、長門有希というキャラクタが常に本を読んでいる。しかも実際に存在する本なのでタイトルがちらっと一瞬見えた時、ああ今度読んでみようかと思っていたのが本書だった。ただ、『ハイペリオン』のタイトルは知っていたのだが、やけに分厚い本だったので躊躇していたのが本音だ。
まあ、ともかく面白かった本やアニメの中に登場する実在の本は、なぜか読んでみたくなりますよね。
そんなわたしはSFファンとはちょっと違うのだろう。(SF小説は大好きだが)
『ハイペリオン』は、作者の造語ではなく、ジョン・キーツという詩人が書いた詩のタイトルそのもの。そうなるとまたその詩も読んでみたくなる。

本書『ハイペリオン』は、巡礼一人ひとりの立場から惑星ハイペリオンを浮き上がらせたのに対し、続編である『ハイペリオンの没落』は、視点を変えて物語全体を俯瞰する形の小説となっているというから更に興味をそそられる。

『ハイペリオン』は、「ザ・小説」(100円ショップじゃないですよ)といった感じで、読む価値のある本だと思います。(読む労力は辛いけど)

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