本の感想:お面

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お面
井上重義(文)/日本玩具博物館(監修)
お面 (子どもに伝えたい伝承遊び)
120ものお面が写真と説明付きで載っている。お面好きにはたまらない本である。
「面」とは「仮面」の略語なのだそうだ。


世界のお面、日本のお面と続き、お面の作り方や歴史まで写真と文で書いてある。
なによりお面好きにたまらないのはお面そのものの写真が多い事。
人はお面をかぶるとなぜかお面そのものに変身してしまう。
怒った顔の人でもひょっとこの面をかぶれば、ユーモラスな顔になる。笑顔がすてきな人でも般若の面をかぶればそれはそれは恐ろしい。不思議なことは、お面をかぶった人は、見た目だけでなく、しぐさや性格までお面そのものに変身してしまうことだ。
昨今コスプレが人気だが、お面がコスプレの起源なのかもしれない。お面はかぶるだけだ。そい言う意味ではコスプレよりも手軽さと想像力がある。簡単に人間の変身願望を充足させてくれるお面が日本だけでなく海外でも昔から多く存在するのもうなずける。
この本の文は日本玩具博物館(場所:兵庫県姫路市)の館長である井上重義さんだ。本書のあとがきのページには、井上さんが1963年に郷土玩具の本と出会ったこと。そして、それらの郷土玩具の多くが失われつつある現状を知り、日本全国をまわり郷土玩具の収集を始めたことが書いてあった。
寄贈も含め千点をこえるお面が集まった、とあった。
個人的には、集められた千点のお面すべてが見たいくらいだ。そんなお面の写真集があればぜひ欲しい。
わたしのお気に入りのお面は日本の張り子の面である狐の面と修学旅行で京都に旅行したときになぜか買ったことのある般若の面だ。狐の面は、稲荷神社の神の使いである白い狐が口を開けたり、開けていなかったり表情も笑っていたり驚いたような表情だったりのお面で各地でその印象も違う。子供がかぶる狐の面は、道でばったり出会うと異次元の世界に迷い込んだような感覚になるので少し怖い。
2013-02-24 at 14.45.46
【写真/2013年2月24日 張り子の狐の面 – 口が開いているタイプ】
2013-02-24 at 14.46.33
【写真/2013年2月24日 張り子の狐の面 – にやけ顔タイプ】
2012-05-03 at 15.38.04
【写真/2012年5月3日 実家に仏壇と正対し飾ってある般若の面/修学旅行でのお土産がこれだけというのもわたしくらいのものだろう】
般若はわたしの中では鬼のイメージだ。こわいものを具体化するとこんな感じだと子供のころから考えていた。父親の怒った顔にも少し似ていた。わたしは始めて般若の面を見たとき、男の人の怒った顔だと思っていた。実際は、嫉妬した女性の怨霊をあらわしているらしい。そう考えると一層怖い。
本書の文を書いている井上さんは、古くからある日本の玩具がなくなってしまうことに危機感を抱いてお面や玩具を集め出した。フィギュアや漫画本や車などコレクターは沢山いるが、その多くの人は博物館を作るまでに到っていないと思う。せいぜい集めたものの置き場などで家族に迷惑を掛けているくらいだろう。井上さんは収集中に貴重なお面の数々の寄付を受けたとあった。
中途半端に物を集めると自己満足だが、物もこれくらい集めれば価値を持って世の中の役に立つのだと感じる。

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