本の感想:『指輪物語』J・R・R・トールキン

アイキャッチ未登録画像 面白かった本(小説)

「遠足は家にたどり着くまでが遠足です」

小学生の時、先生から言われた言葉が蘇った。

指輪物語」は、数々のファンタジーやロールプレイングゲームなどに影響を与えたと言われる。
魔法使い、エルフ、ドワーフ、トロル、人間などの人種が登場し、架空世界を冒険する様はまさにドラクエの世界だ。
本は全六冊もあり、映画化されたものは三部作とまさにファンタジー超大作となっている。

単行本には、別刷りで「なかつ国」(物語の世界)の地図が入っている。
随所で「中つ国」のそれぞれの地域や人種の歴史が描かれている。全て本当にあったことのように描かれている。世界中にマニアックなファンがいるというのもうなずける。
ただ、わたしは方向音痴だし歴史はあまり好きではないので、地図や歴史が登場してもあまり入ってこなかった。

それより「なかつ国」、「ホビットしょう」、「つらぬき丸」などの名称や、「ゴクリ」、「馳夫はせお」などの登場人物名が一番印象に残った。英語で書かれた西洋ファンタジーの意味を殺さずに日本語風に訳した瀬田貞二もまた凄いと思う。西洋ファンタジーの雰囲気を醸し出す不思議な日本語を創造している。

この長い物語がどう決着するのかに興味があった。
ふつうのロールプレイングゲームなら、大魔王を倒して終わりだ。「指輪物語」は、大魔王(本書の敵は冥王サウロンだが)を倒してからの話がわりと長い。最終の第六巻の半分以上が敵を倒した後の物語なのだ。

予想外の締めくくり方だった。
主人公のフロドではなく、最初はただのサブキャラかと思っていたサムで物語を締めくくるところが心にくい。
最後の情景に懐かしさを憶えるのはわたしだけではあるまい。

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