本の感想:かがみの孤城

面白かった本(小説)

かがみの孤城
辻村深月(著)

【孤城】(こじょう)とは、援軍がこなくて孤立している城のこと。助けがなく孤軍奮闘している様子のことである。

表紙絵から察するに、助けがなく孤軍奮闘しているのは中学生くらいの女の子だ。

それが、「かがみの孤城」の主人公安西こころである。
こころは、中学一年生。まだ5月だというのに不登校になって自宅で過ごしている。同級生によるいじめが原因だ。

そんなこころに起きたおよそ一年間の不思議な出来事がこの物語である。
陰湿ないじめの描写に読者は冒頭主人公とともにいじめを受けるこころの心情を体験することになる。

出口の見えない生活の最中、こころの部屋のかがみが突然光り出す。
こころが鏡に触れると吸い込まれてしまう。
出た先にはオオカミのお面をかぶった変な少女がいるお城の世界。そしてこころの他に6人の少年少女が集められていたのだ。学年は違うが全員中学生の総勢7名。

オオカミのお面をかぶった少女…通称「オオカミさん」は、集めた7人にこの城のルールを説明する。
何やら願いが叶う鍵がこの城のどこかにあるという。叶えることが出来るのは鍵を見つけた一人だけ。

ロールプレイングゲームっぽいのりで物語の中盤は進んでいく。
読んでいてどこか引っかかる。主人公を含めた7人の少年少女のことだ。なぜこの7人が集められたのか?共通点が何かあるのか?そしてそれぞれの境遇は?

お城で一緒に過ごすうち7人はお互いがある共通の条件で集められたことに気づく。しかしその共通の条件が明らかになってからも主人公こころ以外の境遇は終盤まで読者に明らかにされない。謎のまま物語はすすんでいく。

そして一番の謎はオオカミのお面をかぶる少女である城の主「オオカミさん」だ。
なぜ城に7人を呼び寄せたのか?
理由が明らかになった時、自然と涙が出てくる物語である。

外見でものごとを判断するのは良くないが、この本は分厚くて本らしい本だ。

カバーの絵柄も内容にぴったり合っていて素敵だが、カバーを外してみたら装丁が古めかしく更に「本」といった雰囲気になる。

見せかけと内容が一致した本らしい本だと思う。

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