昭和から令和まで生き延びたあやかし

好きなもの

主に旅館やホテルに出没する妖(あやかし)である。名をGREEN TEAという。
大抵部屋に備え付けの冷蔵庫の近くに置いてあり、緑茶ティーバッグの姿かたちをしている。

旅の疲れを癒そうとこのティーバッグに湯を注げば、一瞬にして湯の色は濃い緑となる。
しかし、肝心の味は緑茶とは遠い。
通常のティーバッグであれば、せいぜい2、3杯も入れたら色も味も薄くなる。ところが、このGREEN TEAは、何べん湯をそそいでも濃い緑と味が持続するのだ。これは緑茶の姿を借りた化生なのである。

わたしが子供だった昭和の頃から、旅館やホテルでこの妖に遭遇した。
平成を経て令和になった現在、いまだ多くの旅館やホテルで見ることができる。

実は、わたしは緑茶とは似て非なるこの妖の味が好きだ。
なぜか、部屋に着いてこれを飲むとホッとするからだ。

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