名文を書かない文章講座

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村田喜代子さんの書いた『名文を書かない文章講座』という本がある。
名文を書かない文章講座 (朝日文庫)
この本の冒頭で、村田さんは文章を書くということについて面白おかしく説明してくれている。


息を吸って、はいてするように文章も声に出してみると良い、という。
しゃべったことをそのまま書いた文章が名文になる様を、十数ページほどの間に手順を追って説明している部分がある。
「映画の帰り道に公園の横を歩いていると桜が咲いていてきれいだった…」なる文章を、不必要な部分はけずり、声に出したとき息がつづかない箇所は文章を変えていく。
しゃべり言葉の文章が、最後には見違えるような文章になる。
その文章を前にして、村田さんは「というわけで文章を書いていると、だんだん嘘つきになるのである。」と結んでいる。
人は文章を書くと嘘つきになるのか。確かにそうだ。
わたしも文章を書いているとき、格好をつけたくなるときがある。また、どこかで聞いた名文の表現を自分の文章のように真似ることもある。
文章を書くと人は嘘つきになる、というのは本当かもしれない。
そう考えると、世間に溢れる広告や新聞、雑誌、小説のたぐいはみんな嘘つきだ。
なぜだが「人は文章を書いていると嘘つきになる」という一文で、わたしは胸のつかえがとれた気がした。
これも嘘ではあるが…

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