二人の神様

そういう気持ち

コンピュータに初めて触れたのは小学4年生の時だった。

友人の良一君が「テレビゲームが出来る機械がうちにあるよ」。という。私はゲームセンターにあるインベーダーを想像し、良一君の家に行けばタダでゲームが出来ると考えた。

果たしてその考えは間違っていなかった。テレビの前には、アルファベットや記号が印字されたキーボードという装置が置いてあり、良一君がキーボードで何かたたくとゲーム画面が立ちどころに現われた。

その時のゲームが何だったのか憶えていない。ただ、良一君の一言だけは頭に残っている。

「この本に載っているプログラムをキーボードで入力したらゲームが出来たんだ」

その本にあるプログラムと呼ばれたものは、2,3ページにわたってびっしりと印字されたアルファベットの羅列でまるで暗号のようだった。どう考えてもゲームと結びつかず衝撃的だった。

その後、私は良一君が持っていた本を買ってきて毎日穴のあくほど見ていた。ある日、父がコンピュータを買ってきた。

あれから42年、今は文章を書くようにプログラムを作る事が出来る。本に載っていたプログラムを見よう見まねで入力しているうちにいつの間にか自分でもプログラムが書けるようになっていた。プログラミングを学生に教えることが私の仕事になった。

良一君にも父にも、もう会えないが感謝している。

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