ドラえもんの衝撃

はじめて買った漫画本は、『ドラえもん』の第8巻だった。
今でも憶えている。それだけ『ドラえもん』が衝撃的だったということだ。
ドラえもん (8) (てんとう虫コミックス)


小学生のころ、わたしの父は毎月一回長谷川書店という長野駅の近くにある本屋に連れて行ってくれた。
一人一冊好きな本を選んでよい、というルールがあった。
それまでは漫画本は買ったことがなかったが、あるとき『ドラえもん』を手に取ってみた。
なぜ中途半端な8巻を手にしたのか今でも分からない。
その場で読んだのかも憶えていない。
家に帰ってからすぐに読んで、その日の夜中にまた起きて繰り返し読んだ記憶がある。
そのときは「こんなに面白いものが世の中にあるのか」といった気持ちだった。
未だに憶えているのだから当時のわたしにはかなり衝撃的だったに違いない。
それだけ衝撃的な出会いだったにも関わらず、『ドラえもん』8巻の内容は憶えていない。
たぶん、多くの少年少女が思いめぐらしたようにわたしも「ドラえもんがいたらなあ」と考えていたに違いない。
始めて買ってもらった漫画は憶えているのに、なぜか始めて買ってもらった本や一番衝撃的だった本というものは頭に思い描く事ができない。
わたしの貧相な脳みそをもって考えてみるに、本は読んでいる最中がもっとも刺激的なのだ。
その先が常に知りたくなる。
何か人生に似ているような気がする。

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