チルルからノイへの短い手紙(要再提出)

火星 長崎瞬哉(詩人)
Mars 2003

地球には水と空気があったから生命が生まれた、なんてこと本気にしないで。
それはあくまでノイ…あ、地球の常識。わたしたちチルルからすれば、水も空気もあっては困るもの。
そちらの言葉では、なんて言うの?
《干からびた》?《ドライ》?それとも《乾燥》あたりが適当かな?
わたしたちチルルは乾燥を好みます。

チルルは水や空気に触れると身体が透明になって見えなくなるの。これはいわゆるエマージェンシーモード。透明になるかわりにその場所に一定時間適応できるの。
もちろん動くこともできる。あまり自由にはいかないけどね。
あなたたち、まだわたしたちの星に来たことないから言っておくと、あなたたち地球人にわたしたちチルルは見えない。透明じゃない時のわたしたちもだよ。なんて言うのかな…うーん、ちょっと地球の言葉じゃ説明できないみたい。

地球の人はそこに何かあるって把握したい時、目で見るんでしょ。
あなたたちでいう《目》にあたる部分を最近わたしたちチルルの科学者が考え出した。実はわたしたちにもあなたたち地球人は見えていなかったの。地球の大気はわたしたちの物体把握能力を無くしてしまうらしいの。
だから初めて地球に降り立った時、ここには生命がいないってチルルたちは思ってた。でもチルルの常識が通じない星だったのね。ここは。

あ、そうそう、わたしたちチルルは友好的な生き物です。地球は戦争が絶えませんね。仲良くしたいです。
まあ、それはさておき、こんなことありません?
時々、誰もいないのに何かが触れた気がしたり、見えない誰かに見られている気がしたり。
それ、もしかするとわたしたちかもしれません。時々遠足でそっちに行くことがあるんで。
地球の人たちにも、わたしたちチルルが見える装置が開発されるといいですね。
ではその時まで。

2年 鳥かご組 Marso Ŝunio

コメノ先生より
途中に話言葉を用いるのはやめなさい。
チルルは『火星人』に直しなさい。30点。再提出。

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