S先生からの宿題

S先生からの宿題 そういう気持ち

わたしの恩師S先生は、80歳をゆうに超えているが大変お元気だ。
実はS先生のまともな年齢をわたしはよく知らない。ご本人に年齢を聞くといつも違う年齢が返ってくるので聞かないことにしている。(S先生は冗談が好きだからだ)

先日、久しぶりに自宅に伺って近況を報告していたときのこと、突然S先生が

ワープロが欲しいんだよ

と言い出した。
なんでも昔日本で全盛だったワープロ専用の機械が使いたいとのこと。
パソコンのようにインターネットも必要ないし、ワープロ以外のソフトも使わないので、ワープロが使えて作った文章の印刷が出来れば事足りる、とのことだった。

今現在も一般教養や漢字を生徒に教えているとのこと。(どこでどんな学生に教えているのか聞きそびれてしまった)

教科書もいいものが無いんだよ。自分で作った方がいいんだけど、手書きじゃちょっとね。
あんた、ちょっと調べてくれる?

S先生の口調からすると、余計な機能が入っている機械は好きではないようだった。
早速、帰宅して調べてみた。(S先生の使わないネットで!)

ワープロ専用機は、すでに日本から消滅していた。
ちょっとしたメモ書き用の機械は売っているが、キーボードが小さすぎるし印刷にはパソコンが必要だ。(これでは意味がない)
かろうじて中古のワープロならまだ使える状態のものが売っているようだった。インクリボン(懐かしい響き)などもまだ手に入る事が分かった。

驚いたことに「文書を作って印刷する」ということが一連の流れで出来る機械はもう存在しないようだ。
かつて全盛を極めたワープロはパソコンのソフトになってしまった。

今現在、パソコンやスマートフォンで利用しているアプリだが、かつてはアプリ1つに対して1つの機械が存在していたのだ。
考えてみるとわたしたちの失ったものは沢山ありそうだ。
S先生の宿題はいつも答えが見つからない。

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