日本は戦後わずか50年あまりで、平均年齢50歳代だったものが、約80歳代になった。
50年のあいだに30歳も寿命がのびたと考えると、戦争で命を落とす人が減ったとはいえ、伸び方が少し異常なのではないかと思う。
病気で要介護状態の人やガン死が増えてきていることも、うなずける。
80歳という平均寿命は、本来の人間の寿命ではないのかもしれない。
昔の医療であったら、とうの昔に亡くなっている人も多いのではないかと思う。
医療によって、生かされていると言ったら言い過ぎだろうか。
子供の出生率も低下してきているし、
「このままでは、お墓ばっかりになってしまうね」と最近夫婦で話したことがある。
結論としては、夫婦のお墓は作らずにしておいて、お互い火葬したら、灰を思い思いの場所に撒こうということになった。
わたし個人としては、お墓参りで、自分のことを思い出して欲しいとも思わないし、りっぱなお墓に入るよりも、つまらない人生でも、今生きているほうが、いいと思う。
生き物である以上、「死」という病は、さけては通れない。
わたしが、小学生時代にとなりの家のおばあさんが亡くなった。
わたしはその時、はじめて人の死に顔を見た。
とてもやすらかな死に顔だった。本当に死んだのかな、とその時は思った。
眠るようになくなった、と後で聞いた。
同じ小学生時代、飼っていた猫がいつのまにやら姿を見せない。
猫は、家のいつもはほとんど使っていない部屋で、冷たくなって死んでいた。
ばあちゃんに、「猫は死ぬときがくると、人目につかない場所で、ひっそりと死ぬんだよ」と言われた。
わたしにも、自分の死にどきが、わかるときがくるのだろうか?
もしそうであれば、ありがたい話だと思った。
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