黒電話について

黒電話について そういう気持ち

黒電話という電話機がかつて日本に存在した。
写真の電話機はどちらかというと黒電話の新しいタイプ(と言っても古いが)だ。
なぜなら「この電話はキャッチホンが利用できます」というシールが自慢げに貼ってあるからだ。

黒電話で出来ることはずばり

遠く離れたの友人や親せきなどと1対1で話をすることが出来る

だ。

電話を掛ける

黒電話は、0から9までのダイヤルを使って電話を掛けることができる。
ダイヤルは時計回りに指で回す。回すと元の位置に戻ってくる仕組みになっている。ただし、数字によって回す距離が違う。0はほぼ円を一周描くかたちとなる。1が回す距離が1番短い。

このダイヤルが元の位置に戻る時間が関係しているのが、警察への電話番号「110番」だ。
11とすぐにダイヤル出来るが、最後の0はダイヤルを回して戻ってくるまでに時間が掛かる。この間に心を落ち着かせてもらうという事で110番が警察の番号になったと聞いたことがある。

電話が掛かってきたとき

電話が掛かってくると、ジリリリリリリリーーーーーンというけたたましい音がする。
その際は、受話器を持ち上げて相手と話をする。受話器は耳と口にあてて使う。受話器は、マイクとスピーカが一対になっている。

黒電話について
わたしが便利だと思うのは、相手とのおしゃべりが終わった際、受話器を元の位置に戻すと「電話を切る」動作になるということだ。スマホみたいに押したか押してないのか分からないようなタッチ操作は一切ない。

電話番号について

電話線からの微量な電力で動作するため、当然のごとく電話帳機能などは無い
わたしがこの黒電話を1番利用した小学生時代は、友達の家の電話番号を基本的に覚えていた。自宅の電話番号を覚えていないなど恥ずかしい事だった。

電話番号である程度相手の住む地域を特定することが可能だ。
先頭の市街局番で見当がつくからだ。相手の電話番号が「03..」などと始まっていたら「ワォ、都会じゃん!」などとわたしの小学生時代は囃し立てた。

キャッチホンについて

この黒電話よほど自慢したいのかサイドにも「この電話はキャッチホンが利用できます」シールが貼ってあった。
黒電話について

キャッチホンの機能について説明しよう。

通常、第三者が電話中の相手に電話に掛けると話し中の音「プー。プー。プー」が鳴るようになっている。
キャッチホン機能を使うとなんと通話中にその第三者の電話に出ることができるのだ。
相手から電話がかかってきたことは受話器から音で分かるようになっている。
その際は、受話器を置く場所にあるフックスイッチを手で押すとなんとなんとその第三者からの電話に出ることが出来るのだ。

じゃあ今まで話していた相手はどうなるのだ?という疑問が生じるが、今まで話していた相手は待っているしかない。(もしくは切るか)
実際は、通話中に第三者からの電話に出る時には、

「今電話掛かってきたからちょっと待ってて」

とか

「今電話掛かってきちゃった。後でね!」

などという言い訳が必要になる。
このキャッチホン便利なのか失礼なのかよく分からない機能である。
ちなみにこのサービスNTTで2018年現在いまだ存続している。

モジュラージャック式は新しい

この黒電話、比較的新しいタイプの黒電話という事で、現代と同じモジュラージャック式で接続できる。
黒電話について
これ以前は、工事の人に来てもらって直接電話線と黒電話を接続してもらう必要があった。

黒電話の底面

一応裏側にも目を向けてみよう。
黒電話について

黒電話はかなり重い。
底は金属板である。プラスチックではないところが昭和の製品といった感がある。

まとめ

黒電話のデザインは、現代でも通用するだろう。
需要も少なからずあるようで、Amazonでも3000円前後でいまだに取引されている。わたしの住んでいるような田舎に行けばただで貰える(蔵から出してきて)と思うが。

スマートフォン時代に黒電話の意味を考えてみる。
スマートフォンが個と個を繋いでいる機器なのに対して、黒電話は家と家とを繋いでいた機器である。

黒電話時代は、友人の家に電話を掛けたとしても友人が出るとは限らなかった。その家の誰かが出るわけで、友人の祖母かも父親かもお姉さんかもしれなかった。
電話を掛ける行為には、ドキドキ感があった。もちろんスマホ時代でも電話にはドキドキ感が伴うが、違う意味のドキドキ感だろう。

社会の在り方の変化は、電話機1つをとってみても感じられる。

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