1平方メートル缶ジュース一本の値段なら買うか

先日新聞に小さな記事が載っていた。
北海道夕張郡由仁町という農業中心の地域で、宅地を県外在住の方に破格の値段で売り出すという記事だ。
過疎化を食い止めようとの策らしい。
Man tree
【写真/2010年9月11日 木】


ほぼ4万円くらいで宅地用の土地が手に入る計算になる。後で購入した土地に家を建てれば条件が整うらしい。
地図をみたが、新千歳空港や札幌市内まで車で1時間ほどの地域で、田舎とはいえ不便ではなさそうだ。
由仁町のホームページを見たが、その土地のインターネット環境まで記されていた。
現代においては、そういった情報も選択の対象となるに違いない。
こんなに安く田舎暮らしの準備が出来るなら、と考える人もいるのではないかと思った。
わたしの住む地域も過疎化や高齢化がすすんでいる。
若い人、とりわけ子供が少ないと感じる。
わたしが住んでいるような都会の喧騒から離れた土地での過疎化した(というより年寄りばかりで活気がない)場所を想像した。
今回の記事にわたしが目に留めた理由は、その土地を購入するのに必要なお金が安いからなのだが、きっとそれは100円ショップで物を買うときの理由に似ている。
100円ショップでは、「安いから」という理由で必要のないものを買ってしまうことが多い。
店に行く前までは必要ではないものだったのに店を出る時にはそれを手にしている。
この「安いから」という心理が働くので、「買わない」ものが「買う」になったり、「余計に買って」しまったりして100円ショップの売上げは上がる訳だが、土地にしても1平方メートル120円であれば、まさに100円ショップの心理が働く。
「安いから」と買ってきたものが最悪の場合、そのまま放置されていることもある。
100円ショップやディスカウントストアでの買い物は私たちに判断をさせないように(つまりは考えさせないように)仕向けられている、という意見をどこかで読んだことがある。
「安いから」というだけであとは何も考えなくなるからだ。まさにそうかもしれない。
わたしは最近100円ショップに行かなくなった。100円出して欲しいものももちろんあるが、必要でもないものは、100円でも高いと思うから。
一番の行かなくなった理由は、自分自身の判断基準がおかしくなるからかもしれない。
わたしは由仁町のような素敵な田舎に住んでいるので、100円ショップまで行くのに車が必要だ。
高いガソリン代を払って100円のものを買わなくても100円より少し高い近所の店で買うことが結局は安くあがることも知っている。
「安いから」という理由で、その先のことを考えなくなってしまうことが一番恐い。
「それがどうしても欲しいから」という理由であれば、車を使っても、飛行機を使ってでもそこに買いに行くと思うし、大金を叩いてでも買うと思う。
そんな魅力を考えることの方が先かと思う。
魅力がないから過疎化しているのか、過疎化しているから魅力がないのか考えてみる必要はある。

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