300字小説「足元」

長崎瞬哉(詩人)
「足元」

毎朝、玄関をあけるのが怖いんです。

ここ3日ほど毎朝玄関をあけると、そこに同じ猫がいるんです。
たまたまその猫が玄関の前を通りがかったとかじゃないんです。

その猫、じっとして動かないんです。
しかもこっちの方を見て、なんて言うか私の足元あたりに視線を向けてじっと見ているんです。

今日気になったんで、猫の視線がある自分の足元をみてみました。
何もありません。当たり前ですが、私の足があるだけでした。

で、視線を猫に戻したら、猫が消えていたんです。
一瞬で。

どこかに走って行ったのかと思って、あちこち見廻しました。

でも、猫はどこにもいませんでした。
不思議な話でしょ。

あれ?さっきからあなた、私の足元ばかり見てますけど…

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