コンビニ人間
村田沙耶香(著)
「普通」という言葉の意味を考えさせてくれる本。
コンビニでアルバイトとして働く主人公の古倉恵子はかなり変な人間だ……と言い切ってしまうことを躊躇させる力がこの本にはある。
まあ実際、主人公の古倉恵子は変な人ではあるのだが…。
「何と比べて普通でないのか?」
「普通の基準とはどこにあるのか?」
主人公の目を通して明らかになっていく「普通」に、わたしは普段見過ごしていた多くの「普通」に気づかされた。
主人公は《普通に生きたい》と考えている。
小さい頃、自分では「普通」だと思っていたことが周囲では「普通ではない」と認識してからは、自分の普通を隠して生活している。
主人公にとっての隠れ蓑はコンビニ店員として働くこと。
コンビニ店員を演じることで、主人公は自分に「普通」の生活が手に入ると考えているのだ。
主人公が「普通」で、わたしが「普通ではない」のだ。そう最後に感じるのはわたし一人だけではないだろう。
読後感は、決して気持ちのいいものではなかった。
しかし、それは私たちが「普通」を演じて生きていることへの違和感だったのではないだろうか?
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