誰かにメリークリスマス

クリスマスリース 長崎瞬哉(詩人)

朝の交通渋滞。
目の前を走行中の車が、突然進路変更をした。多分、ショートカットをして少しでも先に行こうとしたのだろう。しばらくして渋滞を抜けた。バックミラーを見ると先ほど突然進路変更をした例の車が写っている。わたしの真後ろにぴったりと車をつけて運転席の男はイライラした様子だ。何と表現すればいいのか。しかし、わたしは少しだけ優越感を感じていた。

自分は何か行動を変えた訳ではないのに、相手が状況を変化させた事によって自分にとって有利な状態となる。よくある話だ。もしかするとその逆もあるのではないか、崎山はふと思った。
例えば先ほど渋滞中にショートカットをした男のように、自分が行動を変化させた事によって、相手が有利になる、という事が。

例え自分が損をしたとしても、そのせいで誰かが幸せになるのであれば、それもいいと崎山は思った
それが、誰かにとってのクリスマスプレゼントになるのではないか。
12月24日の晩。崎山はそんな事を考えていた。

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