詩:本

長崎瞬哉(詩人)
ページをめくると わたしは小さな魚になる

言葉の海は どこまでも深く大きく わたしを包みこむ

いつしかわたしは 中世の騎士になり 女になり 男になり

老人となり 若者となり 犯罪者となり 宇宙人となって

となりの世界は うすれていく

ページが無くなったとき わたしが誰であったか

一瞬だけ分からなくなる

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