消えない家

アイキャッチ未登録画像 そういう気持ち

わたしの夢に登場する家は、実家であることが圧倒的に多い。
現在住んでいる家も夢に登場しないわけではない。しかし現在の家を1としたら、実家は10くらいの割合で夢に登場する。

郷里の長野を離れ、家を出たのは高校を卒業した18歳の時。結婚して現在の茨城に移り住んでからも、夢に登場する家は、なぜか郷里の実家であることが多かった。

夢だと現実と違って時間が前後する。
夢の中の実家には、わたしの妻や子供たちが登場する場合もあるし、すでに他界した父や母、祖母が当たり前のような顔をして出てくることもある。

先日も、実家の風呂場でうがいをしている夢を見た。
夢の中の実家は、お茶の間だったり、お勝手だったり、寝室、父親の部屋、暗い座敷、玄関…あらゆる場所が登場する。幼い時から住んでいただけあって、実家の間取りは目をつぶっていても把握できる。

ところで、わたしの実家は取り壊されており、すでに存在しない。
築100年以上の古い家だった。父が別の場所に新築したのだ。
存在しなくなっても夢に出てくるのはなぜか?これだけ何年も(もう30年以上も)夢に出てくるのはなぜだろうか?

最近、実家が登場する夢の中で、ある共通の事柄に気がついた。
それは、夢の中で実家が登場するとき、「わたしの家はここだ」と心の中で感じていることだ。
いつだったか、父が生前「家を取り壊すとき、おまえも呼ぶんだったなあ」とわたしに言ったことがあった。

そうなのだ。わたしは実家が取り壊される所を自分の目で見ていないのだった。
18歳で家を出る時、わたしが最後、実家をどんな気持ちで見たかは憶えていない。
ただ、わたしは実家に対して「さよなら」を言う機を逸してしまったのかもしれない。

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