本の感想:『幻少女』高橋克彦

面白かった本(小説)

幻少女
高橋克彦(著)

まず、表紙が怖い。
縦に2つ並んだ少女人形の顔がアップになった写真は、夜見ると格別怖い。(吉田良という有名な方の作品らしい)

「幻想ホラー」と銘打っているが、本書に収録されている作品は、SFショートショートと呼んでも差し支えない気がしてくる。
「神社の教室」「ありがとう」など、読後心がほっこりする親心や家族愛に満ちた作品も多く、ホラーといってしまうには少々もったいない。

電車の一駅の時間で、本書の作品が2,3編読めるくらいの長さである。気軽に怖い話を体験できる本としてもおすすめだ。

中には原稿用紙4枚にも満たない短い作品もある。
そしてどの作品にも最初からある「怖さ」が同居している。

冒頭の「神社の教室」から引きこまれてしまうのは、著者高橋克彦氏の作品のどれもが人間の情愛を感じさせる作品だからだ。
怖いけどどこか哀しい、怖いけどどこか嬉しい、怖いけどどこか楽しい、怖いけどどこか怒りに満ちている。

ちなみに本書のタイトルである『幻少女』という作品は存在しない。
しかし、超異常作品(というか超変態的作品?)である「大好きな姉」に まぼろししょうじょ を見た気がした。

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